第4話 俺っち、初めて格ゲーを見る
「バカ一代とは何サ、バカとは!アンタ何者?名を名乗るノダ!」
純より先にクー子が吠えた。相棒を愚弄されて黙っている彼女ではない。キザ君に猛烈な敵愾心を見せつける。
「おっと、こいつはいけない。失礼、レディース。ミーはこの病院の跡取り、花崎
「ゲームはリアルじゃないとか言うなら、さぞ簡単にやって見せてくれるンだよね。空手家さん!」
と言って、花崎はニンテンドーDSを純の枕元に放り投げた。
ウルサイ!俺っちは少林寺拳法だっ、こんなの簡単だと言いながら純はDSに手に取ったが、
「ゆ、指か動かねえ。。怪我で麻痺が残ってるのか??」
おやおやと嘲笑する花崎。たまらずクー子がアタイがやるノダ、とDSを純から奪うとバト2のキャラを選択。
チャイナドレスの美人格闘家を目ざとく見つけて、アタイに似てるワと、全員スルーの軽口を叩きながら見様見真似でバト2を始めたのだった。
クー子に対するはコンピュータが選んだインドの行者と思しきヨーガマスター。
クー子ちゃん頑張って、と
[註]方向キーはゲームのキャラクターを移動させる為のゲーム機に付帯した装置、機能。格闘ゲームでは攻撃方向の選択肢となる場合もある。
クー子、負けるな!純もエールを送るが、行者の攻勢にクー子のキャラは絶体絶命だ。花崎はド素人のプレイをニヤニヤしながら眺めている。
後一発攻撃を受けるとクー子の負けが決まるその刹那、音々が叫んだ。
「クー子ちゃん!Yボタン、小パン*暴れよ!!」
[註]小パンとは小パンチの略、DSのYボタンを押すと繰り出される。威力は最弱ながらも相手の攻勢を止め得る攻撃である。
クー子は夢中で音々の言うとおりYボタンを押した。すると拳法美人のパンチが行者を捉え、その動きを一瞬止めた。
クー子が初めて意図した攻撃に成功し、純と音々の喝采が上がる。花崎は怪訝な顔で音々を見る、このレディース、デキる。まさか、、
が、反撃もそこまで。最後は行者が口から吐いた火炎放射で拳法美人は丸焦げになってしまった。ユールーズ。
意気消沈する3人。そこに恰幅の良い、ケーシーを着た中年男性が現れた。ひッ、!Dr.パパ、、と花崎が目をむいた。
「そう、私はドクターであり、ユーのパパだ。しかぁーし、私が聞きたい事はそんなことじゃあない。」
「ホコル、何故ここにいるのだ?ユーは何しに病室へ!」
つづく
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