第13話 俺っち、コマンド技を繰り出す

 半回転ジャンプしながらのアッパーカット。飛竜拳と花崎が叫んだその技の餌食となった純・リョウ。


 この一撃に純リョウのダメージは深く、三分の一くらいの体力を失った。クソッ、純はそれでも花崎ゲンに近づかんと斜めジャンプを繰り返す。


 すると、判で押したように飛竜拳の餌食になる。これを2度3度とやっているうちに、純リョウの体力の大半を削られた。純、絶体絶命。


 八方塞がりの純は、ヤケクソになって方向キーを無茶苦茶に入れながら(✕)ボタンを押し続けたところ、純リョウがコマのように回転しながら前進するではないか!


「烈風脚かッ!ユー、どうやってコマンド技を!?」


 花崎が明らかに狼狽している。きっと彼はその技を未だ出来ないのだろう。


 純・リョウは回転を利用したキックを数発花崎ゲンにぶちかましたが反撃もそこまで。最後は焦った花崎・ゲンの姑息な小キック連発に削られてしまった。


 再びガッツポーズの花崎、クー子は悔しさに口を尖らせたが、純はコントローラーを握りうつむいて動かない。


「、、、ナンダヨ、簡単じゃねえか。」


「格ゲー、コマンド技を覚えれば簡単に勝てるんじゃねえのか!」


 ま、マズい。気づかれたか!花崎が息を呑む。


「やってやろうじゃねえか、リハビリでゲーム。覚えてやるぜ、コマンド技!」


 「いいか、花崎!3日後、3日後だ!もう一度、俺っちと闘え!!」


 純の激烈なアジテーションに病室は熱狂の坩堝るつぼと化した。


つづく

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