第12話 俺っち、コマンド技をくらう

 花崎が操る空手家ゲンの飛び道具「気流拳」を初めてかわした純のキャラ、リョウ。しかし着地した所を次の気流拳がヒットし、敢え無く敗北。


 格ゲー、バト2は三本勝負で二本取ったプレイヤーが勝利する。残念ながら一本目は花崎が先取した。


 花崎は片手を突き上げ、やったぜぇと雄叫びを上げる。ちょうど画面の中のゲンの勝利ポーズと同じだ。この挑発にクー子が黙っていられない。


「あんた、狡いヨ!バト2のマニュアル貸してくれなかったから、そんな技とか高度な事、何も練習できなかったノダ!」


「レディース、それはユー達の研究不足ってもんじゃあないですか?言ってくれればいつで貸しますよ。え、マニュアル夫人(笑)。」


 と、クー子をあしらいながら、花崎は純との2戦目に雪崩れ込む。レディ、ファイ!


 垂直ジャンプを覚えた純は持ち前の反射神経で、花崎ゲンの気流拳をかわし続ける。花崎は気流拳の練度が低いのか、どうも空振りもあるようで時々、気流拳が襲ってこない。


 その不安定な気流拳をかわしながら、純の操るリョウは攻撃のチャンスを探し、ピョンピョンとひたすら垂直に跳ねる。かなり滑稽な見映えだ。


 「ど、どうすれば近づける、、」


 被弾回避に終始し、攻撃の糸口が見いだせない純・リョウ。もし垂直で無く、斜めに飛べば近づけるのか?


 これは博打だ、純が勇気を奮って右斜めに方向キーを入れると、気流拳をかわしながら見事に純リョウは敵に近かづいた。


 やった!と、純が喜んだ刹那、ヒリューケーン!新たなセリフがサラウンドのユニゾンで病室に響く。


 「見たか、必殺の飛竜拳!」


 花崎が嬉しそうに叫ぶ。半回転ジャンプしながらアッパーカットを繰り出す技、それを飛竜拳と呼ぶようだ。


つづく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る