熱血!格ゲーマー純

行者BUSYOU

第1話 俺っちは純!


「何だよ、ゲームのプロ選手って!どうせオタク族の連中がやってたンだろ〜ハハハッ」


 「ちょッとぉ、オタク族って!モぅ、純ったら!」


 日乃本純は元気いっぱいの高校生二年生、少林寺拳法に熱中する毎日だ。相棒のクー子とは児童クラブ以来の付き合い。言いたいことは何でも言い合える、そんなサッパリした仲だ。待ちなさいよとクー子が純を追いかける。


 いつもと変わらない今朝の通学時間、いつもの時間に、いつも通りに酒屋の角を曲がった時、いつもとは違う景色が純の前に立ち塞がった。10tトラック。


 純は目を覚ました。見慣れない部屋、一人きり。体が動かない、なんとか首を横に向ける。かすかに浮かぶ英語。ICUってなんだ。ここは?え、俺っち、病院にいるのか??


「純、本当に良かった!姉ちゃんは信じてた、純はきっと目を覚ますって、、」


 純の姉、音々ねねは涙ながらに弟、純の回復を喜んだ。その側には心から申し訳なさそうにするクー子がいる。


 純はトラックにはねられ、生死を境を彷徨ったのだが、奇跡的に意識が回復したのだ。


「純、お姉さん、本当にゴメンなさい!私がプロゲーマーなんてつまらない話をしたから、純が」


「違う!クー子のせいじゃない。信号無視した俺っちが不注意だったんだ、、」


 と、純はクー子の言葉をさえぎった。そして続けた。


「姉ちゃん、ゴメンよ。ウチは貧乏なのに入院なんかしちまって、、」


 純が謝ると音々は殊更に明るく純をたしなめた。


「純はね、お金のことなんて心配しなくていいの。日本には諸外国の要人も羨む国民皆保険という世界に冠たる社会保障制度があるの。」


 高額療養費の仕組みもあるわ、あなたは体を治すことだけに集中しなさい、と音々は弟に諭して聞かせた。


「何だか分からないけど、姉ちゃんは博識だなぁ〜タマゲた!」


 純のおどけた発言に音々は吹き出し、しょんぼりしていたクー子もようやく笑顔になった。


つづく

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