　転院したはずの夢原が純の助太刀に突如現れた。純が操る空手家リョウが繰り出した一本背負い。泡を食う花崎。

　ボタン二つを同時に押す荒業、それが投げ技だ。形勢は再度、純に傾いた。

「坊主、お前のキャラは空手家にして柔道技にも通じた日本武道の総合格闘家だ。」

　夢原が言う。オッサン、サンキュー。ウィンクする純。

　初めて投げ技を喰らい、狼狽する花崎。ビキナーのこういった時の反応は概ね二通り。動けなくなるか、意固地に同じ技を繰り返すかだ。

　花崎は後者のようで、バックステップで距離を取ると飛び道具の気流拳を連発してきた。

　近距離で投げられる恐怖からか、離れた所から花崎は単調な攻撃に終止する花崎。

「フー？誰だあの中年は？夢原？何処かで聞いた名前だか、、」

　呻（うめ）きつつ、入力を時々失敗しながらもコマ技を繰り返す花崎・ゲン。これを垂直ジャンプでかわす純・リョウ。序盤戦のアングルが再現される格好となった。

「オイッ！オッサン、俺っちどうしたらいいんだ？」

　純のアスクに夢原は自分の合図に合わせて烈風脚を出せという。

「せいのぉ、、レップーキャク！」

　夢原の叫びに呼応した純は、すかさず↓↘→(✕)を入力した。すると純・リョウは身体をコマのように回転させて花崎ゲンの気流拳に被弾すること無くすり抜けて前進する。

「みたか、これがすり抜け反撃だ！」

　夢原が教えた新しいテクニック、すり抜け反撃を瞬時にマスターし、その才能の片鱗を見せた純。勝負あった、と見ていいだろう。

つづく

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