　レディ〜ファイ！運命の第３ラウンドの鐘がなった。攻め手を欠く純は、とりあえずバックステップで距離を取る。

　対する花崎が操る空手家ゲンは、飛び道具の気流拳を繰り出し、リズム良く攻撃する。そして純が操るリョウが堪らず前に出て来るところを烈風脚の餌食にする。

　この構図の中で第３ラウンドの序盤戦は進行する。純にとって救いなのは、花崎のコマ技入力が未熟で攻撃が不安定なことだ。

　何度か被弾した純だったが、体力は半分程残っている。純、イケてるよ！クー子が声援を送ると、坊ちゃま、ガンバッと事務長も負けずに花崎を鼓舞する。

　この間、黙って試合を行方を追っているのが、Ｄｒ．ケーシー花崎と純の姉、音々（ねね）だ。

　うむ、ビデオゲームによるリハビリテーションは順調だ。これなら学会で発表できるやも。理事選の布石にも出来るゾ、と胸中で算盤を弾くケーシー。

　一方で音々は静かに純を見守っているが、時折口元が動いている...ショウパ...チュウキッ...

　俺っちどうすればいいンだョ！防戦一方で攻め手が見つからない純がついに音を上げた時に突如、救いの声が病室に響いた。

「坊主！方向キーを右に入れて防御だ！」

　折しも襲って来た花崎・ゲンの烈風脚を受け止めた純リョウ！

「今だッ、(✕)(□)同時押しだ！」

　すると純・リョウが花崎・ゲンを一本背負いで投げ飛ばす、どりあぁぁ！やった！病室のヴォルテージが一気に上がる。

　クー子と音々がドアに所に救いの声の主を求めると、二人の視界の先にはｈマークの黒帽子。

「ゆ、夢原のオジサンなのだ！！」

クー子が歓喜の声を上げた。

つづく

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