第18話 俺っち、格ゲーの怖さを知る
「!な、なんでコマ技が出来るンだ?」
バト2のマニュアルを黒塗りで提供し、コマ技を封じた姑息な花崎。ところが純は
「ユー!お前いつコマ技覚えたンだよ!」
狼狽した花崎が純リョウが放つ烈風脚の餌食となる。たちまち花崎の操るゲンの体力は、完全に削られてしまった。リョウ、ウィン!
三本勝負の一本目は純が先取。病室は純の押せ押せムードに高揚する。ブルジョアの息子を粉砕しろ!と物騒にアジる元プロ市民?もいる。
「ヘイッ、事務長!」
花崎は執事に命じて烈風脚対策を調べさせる。同時に第2ラウンドが始まる。レディファイ!
花崎は苦し紛れに飛び道具の気流拳を放つ。純は例の垂直跳びでかわしながら攻撃の機会を探る。
そんな中、マニュアルを読み込んでいた事務長(執事)が花崎に注進する。
「坊ちゃま、烈風脚は気流拳の逆とキックでございます、↓↙←(✕)で出せます!」
ホワット!と理由もなく事務長を一喝すると、花崎はゲンの烈風脚を出してみせた。それが丁度、垂直跳びから着地する純のリョウにヒットする。
見たか!これぞ、掟破りの逆烈風!興奮して吠える花崎。卑怯ナノダと猛烈にクレームをつけるクー子。
「そ、そうか、、リョウとゲンは同じタイプの空手家だから、コマ技もカブるのか、、」
勝負の流れは純の優勢から一転して花崎に傾いた。入力法を聞いただけで烈風脚をやってみせたのだから、花崎のゲームIQは侮れない。
その上、飛び道具の気流拳も組み合わせて進化した花崎の攻撃。これを避けることが出来ない純。
ムキになってコマ技を繰り返す純だが、精度の落ちたコマンド入力と単調な攻撃はかえって花崎の思うツボだ。
純の乱調に焦るクー子は、同時にこれが格ゲーの怖さなのではないかとクールに分析していた。
攻撃のリズムが崩れ、ひと度守勢に回ると一気に相手がペースを握る。そして瞬く間にゲームオーバー。モニターのコロッセオで繰り返される悲劇がそこにあった。
高笑いする花崎誇と品の良い拍手を送る事務長。ドクター花崎は思案顔だが、息子の快勝を喜んでいるに相違ない。純は悔しさのあまり言葉が出ない。
第2ラウンドは、二つのコマ技を巧み操った花崎が完勝した。純にとっては、まさか自分が覚えたコマ技をその場で真似されるとは思いもよらなかった。
今、純の心理的ダメージは図りしれない。圧倒的な劣勢の中、如何にして花崎を攻略するのか。決戦の第3ラウンドは容赦なく始まった。
つづく
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