第二章
第7話 お誘い
ぼっちに彼女が出来た記念日から数日……
学校に着いた俺は時間割を確認した後、机に突っ伏し寝る態勢に入る。
半分は眠りたいと言う我欲だが、もう半分は違う。
この態勢に入っていることで周りの生徒から寝ていると思わせ、変に関わることを防ぐという防衛態勢であるのだ。
周囲の喧騒が段々と遠くなり、自らの
瞬間、何かの衝撃と共に俺は現実へ呼び戻される
周りをこっそり見渡すと、横に輝く
失礼、可愛い俺の推しで……大好きな彼女の由花がこっそり俺の脇腹を突っついていた。
なるほど……
携帯を見ると「驚いた?」という由花からのLINがスタンプ付きで送られてきた。
俺はそれに「丁度眠れそうだったんだが……」と送り返す
お互い声には出さない。
少なくとも他者から見たら俺らは関わりのないただのクラスメイトなのだ。
【由花】しぃ君昨日遅くまで激しかったもんねぇ
この間の俺、ナイス判断だったかもしれない
なんかすごい誤解を招きそうな書き方である
【YS】そうだな……ゲームでね?
そう、本来LINの交換はゲームを一緒に遊ぶためである。
そして早速この間からのイベントを2人でずっと回していたのだ。
ちなみに俺もまぁまぁやりこんでいるレベルだが由花はさすが2000時間もプレイしているだけあって動きが根本的に違った
「御巫さん〜おはよー!」
クラスの女子たちが由花の周りに集まり始める。
「あっ櫻井ちゃんに今井ちゃん、おはよう〜」
転校して一月もたたないというのに、クラスの女子らの輪にすでに溶け込んでいる由花
誰にでも明るく接しており、男女問わず人気の生徒の1人になっている
なので……
「なぁ相馬、御巫さんって彼氏いると思うか?」
「あーどうだろなぁ……美人だしいるんじゃねか?」
そんなクラスの男子の声が聞こえる。
ここで「あ、どーも。俺が由花の彼氏です」って言って見たいわ。
まぁそんなこと言ったらクラスどころか学校中から村八分確定だが。
そんな事を考えていると
「俺御巫さんに当たってみようかなぁ」
「あれ高城お前彼女いなかったっけ?」
「それもう少し前の話だけどな……でもいけそうじゃないか?誰にでもやさしいし」
そんな下衆な声も聞こえてきた
そういえば、まだ彼氏らしいこと何もしてないな……
俺はおもむろにLINを開きメッセージを送る
【YS】なぁ由花
【由花】どしたのー?あ、まさか嫉妬〜?大丈夫だよ〜浮気なんてしないから
どうやら先ほどの会話が聞こえていたらしい。告白予定を聞かれるなんてどんまい高城。まぁ既に俺という彼氏がいるんだがな
【YS】浮気はしないで欲しいんだがな……
浮気は……嫌いだ
だから俺は……と書こうとしていた文章を慌てて消す
【YS】それはさておき……今週の日曜日暇?
【由花】予定を聞くってことは……もしかしてデートのお誘いとか?
察しがいいな……まぁ図星なんだが
【YS】由花さえ良ければだけど……
【由花】行く行く絶対いくどこ行く!?やっぱり定番の遊園地とか水族館!?それともショッピングモール!?それとも海水浴とかスキー場!?もしかして……しぃくんの両親の家!?
めっちゃ乗ってきたな……今春だからスキーには遅く海水浴には早いぞ……って待て、なんか変な選択肢なかったか?
【YS】何か変な選択肢見えた気がするんだが……無難に遊園地とか……どうだ?
【由花】いいよー!じゃあ10時に駅集合ね!
完全に主導権はむこうにいってしまった……
でもまぁ……これで日曜日の楽しみができたぞ
あと数日……頑張るかぁ
ちなみにデートに行けるいい服がなくて焦ったのは別のお話……
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