第13話 馬鹿
観覧車がもうすぐ真上に到達する。
「だから……怖いんだ、捨てられるのが。幸せが」
ここまで話し、俺は一度水分をとる
俺の話をじっと聞いていた由花は俺が飲み物の蓋を締めるのを確認すると
バチン‼と思いっきり俺の頬に平手打ちをした。
「馬鹿じゃないの⁉そんな……そんなの……その女が悪いに決まってるじゃん‼、なんでなんも悪くないしぃくんが引きずってるのさ⁉」
俺は平手打ちを受けた頬に思わず手を当てる
「それとも何?しぃくんは私もその女と一緒で、浮気するかもしれないって思ってたの⁉そんなの最低だよ‼」
そういうと泣きながら俺の胸をたたく、
ああ……そうか……
「ごめん……」
どうにか謝罪の言葉を引き出す
「しぃくんの馬鹿‼馬鹿しぃくん‼
むちゃ言うな……メイドカフェで話せれる内容じゃないから……
思わず突っ込みそうになってしまったが、どうにか胸に押し込む。
「由花……」
俺は由花を強く抱きしめ、唇を触れ合わせる
数秒……数十秒は立っただろうか
唇を離すと、二人の間に糸が垂れていた。
「ごめん……ずっと……隠してて」
「……馬鹿」
「だから……」
俺はもう一度唇を触れ合わせる。
そして今度は、舌も一緒に
「んっ……」
永く、長い数秒間
俺と由花は、溶けて混ざり合いそうだった。
そして唇を離し、耳元へ近づける。
糸が先より多く垂れているが……気にしない。
「由花……」
由花の耳元でぼそっと呟く
「しぃくん……」
向こうも同様に俺の耳元でささやく
「絶対……絶対俺は由花を幸せにする。他の……何を捨てても。」
お互いの鼓動が聞こえそうだ
そのぐらい、俺も、由花も、合わさっている
「だから由花……改めて、俺と付き合ってください。」
「……約束、だよ。私も絶対しぃくんを裏切らないから」
そして、強く、強く互いを抱き合った。
観覧車は、もうすぐ地上に戻りそうだった。
観覧車を降りた俺たちは、駅に向かい、帰りの特急電車に乗る。
最寄につくまでの数十分間、ずっと俺と由花は互いの腕を抱き合っていた。
「さよならを言うのはつらいけど……しぃくん、また明日ね」
「うん……また明日。」
こうして、初デートの幕は閉じたのである。
二章 完
三章へ続く
作者あとがき
皆様こんばんは、不知火綴です
二章は一気にラブコメらしくなってきましたね
あ、皆さんの声が聞こえてきました。あの幕間はなんだ⁉って
それは……おいおいわかるかと思います
次回、第三章は順調にいけば今週末ぐらいには書き上げられると思います
一応一気更新予定ですが……もしかしたら個別投稿になるかもしれません。
最後になりますが、感想や評価が制作のモチベーションとなります。
もしよろしければ感想などを書いていってください。
それでは次回の更新でお会いしましょう。
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