第8話 駅
日曜日の朝9時、待ち合わせの駅前に着いた。まぁ1時間前ならベストだろう
駅前のコンビニで紅茶とお菓子を買って待つ。
待っている間、懐かしい記憶を思い出した
「しぃくんってさ……お菓子とか食べるの?」
めいどるちぇにご帰宅して、紅茶を飲んでいるとふとそんな事をあいりすに聞かれた
「そりゃまぁ食べるけど……お菓子っていっても色々あるけどなぁ……」
俺は紅茶に着いているクッキーを手に取る
「俺はこのクッキーが一番好きだなぁ……シナモンの味が強くて美味しいから」
外国の菓子ということもあり、よく輸入菓子とかで売っているこのクッキー
個人的には紅茶と一緒に食べるのもいいが、紅茶に浸して食べるのも美味しいと思っている。
「このクッキーかぁ……あんまり食べたことないんだよねぇ……」
アハハと苦笑するあいりす
「まぁ少しお高めだしね……」
そんな話をしているとねくろさんがあいりすを呼んでいる。どうやらチェキを撮って欲しいらしい
あいりすはまたね〜といってそっちに向かった。
メイドカフェではよくある事なので、俺はカバンに入れた本を取りだし読み始める
少しすると小柄なメイドさんがやってきた
「さっきあいりすさんが話していたのを小耳に挟んだのですが……しおんご主人様もこのクッキー、お好きなのですか?」
そう尋ねてきたのはメイドのさくらちゃん
美人揃いのめいりっしゅの中でも大和撫子という言葉がぴったりなメイドさんだ
「そうだねぇ、このクッキーが多分いちばん美味しいと思ってる」
俺は読んでる本を置きさくらの方に目をむける
「このクッキー……結構意見分かれませんか?好きなご主人様も多いですが苦手なご主人様も多くいらっしゃるので……」
「確かに……シナモンの味が好きか嫌いかだよねぇ……」
懐かしい思い出を思い出したな
因みにさくらさんはその後、卒業が決まりイベントを行っていた。俺も行きたかったのだが運悪くインフルエンザにかかってしまい行けれなかったのである。
そんな事を考えていると遠くから見覚えのある姿が見える
「おまたせー!」
小走りにこっちに走ってきて、俺の前で止まる。
「おはよ……やっぱり可愛い……」
いかん、由花が可愛すぎる
「でしょでしょー!」
今日の由花は普段ポニーテールにしている髪を下ろし、緩いウェーブをかけている
そして白いカーディガンに青のワンピース、そしてサンダルという映画に出てくる少女のようだ
っといけない、ここで止まってては話が進まない
「それじゃ、行こっか」
目的の遊園地までは特急電車で数駅ある。
予め買ってある切符を確かめ俺は座っていたベンチから立ち上がる。
「それじゃいこー!」
そう由花が言うと、俺の手をとり、自身の指を俺の指の間に絡ませてきた。
「ちょちょちょちょっと待っててて」
突然の恋人繋ぎに焦る俺、顔が真っ赤になっている気がした。
「恋人だもん!あ、もしかして腕組の方が良かった?」
さも当然のように主張する由花。
今の気持ちを代弁するなら恥ずかしさ8割怖さ2割と言ったところか、
というか腕組みって……スポーツ観戦かよ
「いや手繋ぎで大丈夫です……」
グイグイくる由花に圧倒される俺
あれ……そういえばなんで由花はこんなに恋愛慣れしてるんだろう
思えば、最初の独白の時もバックハグだったわけで……
「ほらほらー移動するよー!」
由花の声で現実に戻される
まぁいいや、今を楽しもう。
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