第4話 授業
驚きもありつつだがとりあえず地理選択の教室までたどり着いた。
丁度この教室のカギは俺が持っているのでガラリと扉を開けると、普段の机に加えもう一つ、準備されていた。
そうだそうだった。そもそももともと俺しか受けていなかったんだ
丁度いい機会なので俺は疑問をぶつけてみることにした。
「そういえばさ……御巫さん」
「どうしたの?柚木君」
御巫さんは変わらぬ笑顔
「どうして地理へ?」
「うーん……気分?」
気分……気分かぁ……
頭を抱えながら席に座り先生を待つ
すると数分後、段ボールが歩いてきた
普段を知らない御巫さんはさすがに驚いていた。
といってもこれは俺にとってはいつもの事なので冷静に待つ
「待たせたな!」
中央まで来ると中から30代ぐらいの男性が現れた
「おはようございます。今日はどこぞの傭兵です?」
「相変わらずだな……って隣の女性は誰だ?まさか柚木お前……」
「んなわけないじゃないですか、転校生ですってば」
どう考えても違うだろうという突っ込みをしたかったがさすがに自重した。
「あー……そういえばそんな報告あったな。嬢ちゃん、名前は?」
「あ……えっと……御巫由花です」
さすがにインパクトが強すぎたのだろう。おどおどしながら自己紹介をすます。
そりゃまあいきなりコスプレできたらだれでもビビるわ……
「御巫由花だな、俺は相川、一応地理科教員だが……ただの傭兵だ」
「いや先生役が抜け切れてません。後その姿だったら傭兵時代じゃないです」
すかさず俺が否定する、もはやコントである。
俺と相川先生にとってはこれは日常なのだが……まぁ御巫もすぐになれるだろう。
「おっと失礼……それじゃあ今日も授業やるぞ……っとすまん、忘れ物した」
そういえば普段持っているPCが今日は見当たらない。
「さすがに取りに行くには遠いな……いいや、じゃあ今日はもう自習で、適当にスマホとかいじってていいからなー。俺は見てないぞー」
そういうと相川先生はまた段ボールの中に入り、教室を退出していった
扉が閉まると御巫は固まっていた。
「すまんな……いい先生なんだがなんせ豪快でな……」
「す……すごいキャラ濃い先生だったね……」
「そりゃそうだ、俺も最初のうちは驚いたぞ……なんせ最初かつらかぶってネギ持ってきてたからな……しかもそれで授業をやるんだぞ……」
今でも覚えている。あれはシュールだった……
「あはははは……そういえば今柚木君スマホ持ってる?」
「ん……あるけど……」
「ちょっと貸して……うん、これで良し」
帰ってきたスマホを見ると、LINと電話帳に見慣れないものが追加されていた。
「これって……」
「私のLINとアドレス!これでいつでも連絡が取れるから!」
マジか……まさかの合法的に連絡手段をもらえたぞ……
「ところで明日って暇?暇なら明日夜の農クラのイベント一緒に回さない?」
農クラのイベントを……御巫さんと一緒に……?
思わず耳を疑った。
「いいけど……御巫さんいいの?こんなただのモブみたいな人間にいきなり連絡帳とか渡して……」
ふと冷静に考える
別にイベントに一緒に参加する分にはいい、複数人で回す方が効率はいいからである。
だがしかし、いきなりこんな人間のスマホに誰もが欲しがるアドレスなんかを突っ込んでいいのか……
「大丈夫だよ~回すときはボイチャした方が楽だし……それにね」
そういうと御巫さんは立ち上がり
俺に背後から抱き着いた。
所謂バックハグというやつである。
「しぃくんさ……何となく気が付いているんでしょ?私の事をさ」
しぃくんという呼び方
一度は違うと切った縁
それらが全て……つながった。
でも……本当ならいない
「あい……りす……」
声にならない声で……俺は大好きな推しの名前を呼んだ
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