玉石王宮譚

虎雹国の王宮で、文官として働く蘭秀。
人使いの荒い上司から命令された仕事を終わらせた帰り道、不思議な唱を耳にした。興味を引かれて聞こえた方角に足を向けると、そこには舞を舞う美しい少女がいた。白銀の髪をなびかせ、朱色の打掛を着た少女だった。彼女は星麗と名乗り、この世の邪気を祓い清めているのだと言う。
親交を深めていく蘭秀と星麗。
しかし、なぜ星麗が王宮の敷地内で、一目を偲びながら舞を舞っているのかは、分からないままだった。
なぜ隠れながら星麗は舞っているのだろう？
その目的を知った時、蘭秀は己の過去に関わる、無視できない事案に直面することになる。

皇太子と外戚の姫を襲った呪いの正体、星麗の正体、裏に渦巻く沼の正体。
偽りで身を飾った者を、蘭秀は見破ることが出来るのか。