第21話

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「……結局、午後の授業サボるハメになったし」

「しょうがないじゃん。ドロドロに熟れた林檎みたいな顔してる梨紗を教室に返すわけにはいかないし」

「んなッ……」

「それとも何? そんな状態の梨紗を飢えた男達の前に晒して、無様に欲情するケダモノ共に、俺がなんとも思わないとでも?」

「ッ!」

「ああ、もしかして……怒り狂った俺からの甘いお仕置き……期待してた?」

「そ、そんなわけ……!」


 ニヤリと笑って舌なめずりをする瑠果。

 その魅惑的な表情、瞳、唇全てが私をいやらしく誘う。

 ついさっきまで濃厚な行為をしていたのもあり、冷め切っていない私の身体が再び熱を持つのは容易すぎる。

 そして、おそらく瑠果は……それを全部わかっていてやっている。


「ふふ。またそんな顔して。そんなに食べてほしいのなら、喜んでいただきますよ? 林檎ちゃん?」

「~~ッ!! る、瑠果のバカ! 意地悪!! あんたずっと、本性隠してたでしょ!!」

「あはは、本性って。だって梨紗がずーっと俺の気持ち突っぱねるから。捻くれちゃうのも無理はないよね?」

「はあ!? 私のせいだって言うの!?」


 冗談じゃない! こんな可愛くない瑠果は知りません!!


「いいでしょ? 今まで振り回されてきた……お・か・え・し」

「ひゃっ……!」


 こ、こいつ……! どさくさに紛れて耳舐めやがった!!

 信じられない!!


「あーほら、またそうやって俺を弄ぶ」

「なっ!? 弄んでないわよ!」

「嘘だ。梨紗のエロい声に欲情する俺を見て楽しんでるんでしょ?」

「楽しむぅ!? そもそも誰のせいだと……!」


 いきなり耳を舐められて怒りたいのはこっちなのに、責めるように視線を投げてくるから意味がわからない。

 あーもう! 調子狂うなぁ!


「あはは! ごめんごめん。梨紗があまりにも可愛いからつい。そんな顔しないで?」


 瞬時に表情を和らげ、私の眉間に寄っていたであろう皺をちょんとつついて媚びた猫のように甘えてくる瑠果。

 なんだこのずるい男ランキングぶっちぎり1位がやるような仕草は。

 あーもう……調子狂うなぁ……。


「……何でも言うこと聞く瑠果に戻らないかな」

「えー、俺が言いなりにしてたらつまらないから靡かなかったんじゃない?」

「別にそういうわけでは……瑠果だけは論外だと思ってただけ」

「さらっと酷いこと言うよね」


 しまった。つい癖で本音を言ってしまった。

 実際、以前は瑠果がどんなに理想の男になったとしても、昔の記憶がある限り恋愛対象にならないと思っていたからね。

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