第10話
次の日、学校に行くと教室内がざわついていた。
「三波くんが元通りになってるー!」
「赤髪やめちゃったんだ〜似合ってたのに〜」
「でもこっちの三波くんも捨てがたかったからまた見れて嬉しい!」
瑠果の机を取り囲むように、生徒達が集まっている。
……言いつけ通り不良やめてくれたんだ。
人が多すぎてよく見えないけど、なんとか隙間から見えた瑠果は元の髪色に戻っていた。
今朝家まで迎えに来なかったからまた遅刻かと思ったら、ちゃんと学校にいて良かった。
でもそれなら今日はどうして迎えに来なかったのか気になる。不良になってからも初日以外は家まで迎えに来てたのに……後で聞いてみようかな。
黒髪に戻したということはまた王子様をやるつもりなのだろう。
そう考えていた私は、瑠果のみんなへの対応を見て驚くことになる。
「ごめん。今日は気分が悪いからそっとしておいてくれないかな」
口調は決して厳しいものじゃないのに、有無を言わせない物言い。
勿論不良の時と比べたら物腰柔らかだけど、王子様の時は拒絶されたことなかったからクラスのみんなも驚いているようだ。
固まる女の子達に瑠果が再度「ごめんね」と微笑んで言えば、周囲は慌てたように謝って散っていった。
どうしたんだろう。本当に体調が悪いのかな?
今までとは違う瑠果が不安になって近付くと、私に気付いた瑠果が一瞬こちらを見て――すぐに逸らした。
……え? 今私のこと無視した?
いや、瑠果に限ってそれはないよね。
そう思い込んで瑠果に喋りかける。
「瑠果おはよう。体調大丈夫?」
「……おはよう。大丈夫だよ」
にっこりと微笑む瑠果。
それは王子様の時となんら変わらない笑顔なのに――やっぱり何か違う。
基本学校では離れることのない私達。
私が歩けば瑠果がついてくるのが常だった。
それは王子様の時だって、不良の時だって。
なのに……。
「……そっか。気をつけてね」
「ありがとう」
私が瑠果から離れて自分の席に向かっても、瑠果はこちらを見ようともしなかった。
……なんでだろう。胸がざわつく。
私、何かしたっけ……?
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