第18話
私が、瑠果を……恋愛的に好き……?
「ッ!!」
その意味を噛み砕いたら、いきなり顔に熱が集まったのがわかった。
な、何をいきなり言って……!!
「……ふーん。自覚してないだけか。なら……」
とにかく熱を冷まそうと両手を顔の横でパタパタしていたら、瑠果の呟きが聞こえた。
自覚って何を……?
いやそれより、瑠果ってば何を言ってるんだか!
「何言ってんの! 私は友愛的な意味で好きなの!」
「俺に笑いかけてもらえなくて寂しかったんだよね?」
「うん……」
「他の人と話してるの見て嫉妬した?」
「そ、それは……! その通りだけど……」
「俺と付き合ったら、もう他の人に笑いかけないけど。……どうせ、作り笑顔だし」
そう言って試すように私を見る瑠果。
やっぱり作り笑顔だったのね!
じゃあ瑠果が本当の笑顔を向けるのは私だけ――ってちがーう!!
何ちょっと喜んじゃってるのよ! そんな場合じゃないでしょ!
瑠果は確実に有言実行するタイプだ。
私のせいで瑠果の交友関係が狭くなるなんてことはあってはいけない。
「わ、私はそんなこと望んでないから。瑠果にはみんなと仲良くして欲しいし」
「そっか。でも俺そんな器用なタイプじゃないから、どうしても恋人を優先しちゃうと思う。それもダメ?」
な、何が器用なタイプじゃないだ……!!
あんだけ王子様やっといてそんなわけないだろうに!
……まあ、不良の方が素に近いって言うなら瑠果の言う通りなのかもしれないけど……。
「別にダメってわけじゃ……。でもそれなら、付き合う必要はそんなにない気が……」
「――わかった。そこまで言うならもういいよ。その代わり、俺に恋人ができたらもう梨紗と前みたいに話せなくなるから」
「ッそ、それはダメ!!」
反射的に口から出た言葉。
それに対し、誰よりも自分が驚いた。
や、やばい。考えるよりも先に口が動いてしまった……!
絶対瑠果に突っ込まれると思ってどうにか弁解しようとするも、悲しいくらいに何も思いつかない。
瑠果の方が頭がいいのだから、考えなしに口論したら負けるのは確実なのに……!
「へえ? ダメなんだ? それはちょっと我儘なんじゃない?」
「……」
「言ったよね? 恋人を優先したいって」
「……」
「恋人でもない梨紗より優先するのは当然だと思うけど」
「……ダメ」
「なんでダメなの?」
予想通りの瑠果からの猛攻。
……なんか、段々イライラしてきた。
私は一生懸命なのに、なんで瑠果はずっと意地悪なわけ?
瑠果のくせに。
瑠果のくせに……!
「だって瑠果は私のものだもん!!」
「ッ!」
「瑠果にとって私が一番なの! 私以外の誰かを優先しちゃダメ!!」
辺り一帯がシーンとする。
……は、恥ずかしいいい!!
瑠果の顔が見れない。
売り言葉に買い言葉で言っちゃったけど、こんなの告白も同然――
「……それ、告白にしか聞こえないけど」
「ち、ちがっ……」
「……」
「……くない」
反射的に否定しようとしたけど引っ込める。
ですよねー、瑠果もそう思うよね?
これ、もう言い逃れできなくない?
ずっと認めたくなかったけど、なんかもうどうでもいいや。
こうなったらやることは1つ。
全力で開き直るに限る。
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