第13話 3
それから、テスト期間に入った。
部活動はお休みとなり、
しばらくはそれなりに真面目に勉強をしていたが、集中力が切れたのか桃絵や檸檬が児童書を読んでみたり、ノートの隅に落書きをし始めたりする。
「あらあら、2人とも……」
そう、茶姫は困った様子で頬に手を当てた。
「まあ、集中力とか人それぞれだし」
そう、橙花も頬杖を突いて2人を見る。
実際、茶姫や橙花も、集中力が切れたところだった。ここにもっと勉強が得意で教えるのも上手い人がいれば、とはなんとなく思うが、居ないのである。
「そういえば。4人になっちゃったね」
と、桃絵が周囲を見てから小声で3人に話しかけた。何が、とは言わずもがな
「これから、どうなっちゃうんでしょうか」
そう、檸檬が呟く。彼女達はパレットと交流をして、
そして、
だが、それがいつまで続くのか、何をしたら終わりになるのか分からない。
「何か内緒話?」
と、
彼女は橙花のクラスの学級委員長をしており、次期の生徒会長になるだろうと期待されている人物だ。
「あら、藍華。どうしたの?」
慌てる3人をよそに、茶姫はおっとりと藍華に首を傾げた。茶姫と藍華の2人と橙花は幼馴染だ。
「そのぬいぐるみ、校則違反だけれど」
腕を組んだ姿勢のまま、藍華はパレットに視線を向けた。
「誰も何も言わないから、あんまり事を荒立てたくなかったけれど、流石に1ヶ月以上放置する訳には行かないのよね」
「見えるの!?」
それに桃絵が立ち上がる。「も、桃絵ちゃん、落ち着いてください……!」と慌てて檸檬が桃絵を
「そうだよ、ここは図書館だし」
そう、橙花も注意をする。
「ご、ごめん……」
途端にしおらしくなり、桃絵は静かに着席した。
「『見えない』って、何が?」
首を傾げる藍華に、橙花はパレットの姿が周囲には見えないらしいことを告げる。
「そんなことある訳ないでしょう?」
そう、懐疑的だったが桃絵が近くの生徒を捕まえて「ね、このこ見える?」と指したところ、怪訝な顔で「ノートがあるだけだろ。勉強のしすぎで頭がおかしくなったのか」と冷たく言われて桃絵は不貞腐れた。
困惑する藍華に
「ねぇ、
そう、茶姫が問いかける。「仲間は多い方が助かるわ」と割と打算的だったが。
「言われてもねぇ? そもそも、
そう、藍華は問いかける。
「最近現れている純黒の怪物の話は知ってるわ。何度も現れているから」
そして、それと戦う少女達の話も知っているらしい。
「だけれど、よく分からないものになるつもりはないわよ」
そう言い放ち、「仮に他の人の目には見えなくても、気を付けた方が良いわ」と、パレットのことを注意した。
×
その日の放課後。
ウェスペルが校庭に現れる。
「運動をする健全な肉体には健全な精神が宿る。そして、健全な精神は良質な『
そして、部活動生の残した運動用具を媒体に『
それからすぐに避難誘導の放送が流れ始め、数分もしないうちに煌びやかな
「……多いな」
呟きつつ、
「まあ大人数は予想済みだ。数には数だ。こちらにも考えがある」
と、『
「多勢に無勢なんて、卑怯よ! 倫理道徳に
丁度、戦闘の様子を見ていた藍華が叫んだ。その刹那。
——パァン!
そう弾ける音と共に、藍華の胸元からレインボーパクトが現れた。
「なに?」
キラキラと輝くそれに、藍華は戸惑う。
「これ! 受け取って!」
とパレットが投げよこした指輪を受け取り、我に返った藍華は、指輪とコンパクトを構えた。
「『レインボーパクト』!」
藍華は声高らかに宣言する。
そして、青色の光と風の奔流に包まれ——
「凍てつく刃! 鋭い知性の色、『グラキエスベリー!』」
ビシッ! とポーズを決めた青色の
「嘘、私、変身してる……」
一瞬呆けたものの、すぐにグラキエスベリーはウェスペルに向き直る。
「あなた達、何者よ! 何度もたくさんの人を不幸な目に遭わせて!」
「俺達は『
そう、ウェスペルは淡々と答えた。
「丁寧にありがとう。でも、勝手にこの世界を襲うなんて感心しないわ!」
そして、
「『ブルーフロスト』っ!」
そう高らかに告げると、冷風が吹き荒び、周囲の『
そして、
「『ブルーメテオ』っ!」
その宣言と共に青い輝きを内包した氷の
氷の礫が止んだ頃には『
「チッ」と舌打ちをしてウェスペルは姿を消した。
「なんとかなってよかったわ」
そうグラキエスベリーは安堵する。それと同時期に
×
拠点の洋館にウェスペルが帰ると、そこにはディールクルムとディエースが居る。
「お前、何素直に質問に答えているの」
そう、ディールクルムがウェスペルに詰め寄るが
「聞かれたからだが」
そう、ウェスペルは淡々と答えた。それに表情を歪め、ディールクルムは舌打ちをする。
「……次は僕か」
とそれらを無視してディエースは呟いた。
×
「はぁ。仕方ないわね」
「結局、
「よかった! また明日から一緒にいられるね!」
と、
「よかったね」と
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