第15話 拠点ができる
みんなでショッピングモールに出かけた次の日。
だが、テスト前期間ということもあって、いつもより利用者が多かった。
やがて5人と1匹分のスペース確保が難しいと察した
「
そう、
「や、やっぱり。人の迷惑にならない場所がいい、ですよね」
そう、
「誰かの家、ってのも申し訳ないし」
橙花も呟く。3、4人程度ならまだしも、5人となると上がった家の人に迷惑をかけていないか気になってしょうがない。
「図書館が使えないとなると……」
「どこがあるかしら。公民館? 無理そうよね」
「あ」
パレットが声を上げた。「どうしたのパレット」と桃絵達は視線を向ける。
「特別な場所があるのを、思い出したの」
「『特別な場所』?」
そう首を傾げる桃絵達に、パレットはとある場所を紹介する。
「
「指輪?」
思わずみんなは自身の右手の中指に
「妖精のぼくはそのまんまで大丈夫だし、みんな行けるはずだよ!」
×
「一度行ったら、どこからでも行けるようになるんだよ!」
とパレットに連れられて
特別な場所に行くには、まずは一度、ちゃんとした同じ入り口から入るのが大事らしい。
「ここだよ!」
着いたのは神社だった。割と橙花の家に近い場所にある。
「こんなところで?」
自然豊かで昔からあるような、
「うん。だってここはこの街で一番『
そのまま神社の裏手に案内された。
すると橙花達の指輪が輝き、橙花達はその輝きに包まれる——
×
視界が晴れた時、橙花達は見知らぬ場所に立っていた。
「うわぁ、おっきな木!」
そう、
周囲が自然豊かなのは同じだったが、目の前にどうしようもなく巨大な木があった。巨大の中はくり抜かれており、中に人が入れそうな雰囲気だ。
「ここだよ! 『特別な場所』!」
嬉しそうにパレットは飛び回る。
「中に入ってみましょう?」
まるで御伽話の世界のような雰囲気で、
言葉を発していないが
中に入ると開けた空間があり、側面に沿って小さな本棚や机、椅子などが複数置いてあった。
「自分で持ち寄った本が置けそう」
と茶姫は本棚に興味を向け、
「ここでなら、周囲に邪魔されずにお勉強や
藍華は感心しきりだ。
「で、神社の裏手以外での行き方ってどうするの?」
周囲を見回し
「指輪に向かって、この場所を想像しながら強く念じるんだよ」
簡単でしょ、とパレットは橙花を見つめ返した。確かに、簡単な方法のようだ。
「みんなで共通の名前を付けてみて! その方が、もっとこの場所をイメージしやすくなると思う!」
パレットが提案し、橙花達は考える。みんなが色々と案を出してみるが中々決まらない。そこで
「じゃあ『
と橙花が提案してみた。
「シンプルね」
「覚えやすくて良いんじゃない」
なぜかそれに藍華と茶姫が興味を示し、檸檬も桃絵も特に不満もなかったのでその名前に決まった。
「魔法少女っていうのはね、溢れるたくさんのエネルギーでみんなを助ける存在なんだって聞いてたんだ」
とパレット。
「だから、みんなが
実に嬉しそうで、橙花達も自然と笑顔になる。
「あと、念じたら指輪にものを収納することもできるよ! ここに持っていきたいものがあったら収納してみるのも良いかも!」
「そんな便利機能が……」と、橙花達は指輪を見た。この機能があれば、さほど怪しまれずにこの場所に私物を持ち込めそうだ。
それから中をそれなりに散策し、他にもそれぞれに丁度良さそうな小部屋を幾つか見つける。
「確か、指輪の所持した子の数だけあるはずだよ」
とパレットが答えたので、対応する
「じゃあ一旦おんなじ神社の場所に出て、そっちから帰ろっか」
そうして、みんなは神社の裏手の方から出る。
×
すっかり空が赤く染まった、その帰り道。
『
「みんな! お願い!」
パレットに頷き、
×
「……これ以上は、もう増えないようだな」
そう、黒い格好の女性、ディールクルムは呟く。
「増える増えないってまるで虫みたいに言わないで!」
ムッとしてソムニウムピーチが言い返した。
「うるさい! 5人になっておいて文句を言うな!」
半ば自棄になってディールクルムも言い返す。
そんなやりとりがあったものの、
「一旦、あいつらのいる場所に潜入する必要があるか……?」
と、ディールクルムは考え込む。
×
ディールクルムが拠点に帰ると、いつもの通りに、そこにはウェスペルとディエースが居た。
「この街を拠点にしてから数ヶ月は過ぎたぞ」
「そろそろ成果を出さないと僕達が危ないんじゃない?」
ウェスペルとディエースはディールクルムを見る。
「うるさい! お前達だって成果は出していない!」
「騒がしいですね。内部分裂は良くないですよ」
と、背の高い男が現れた。
「ルーナム・ノクテム様?!」
「最高幹部の貴方様が何故ここに」
ディエース、ディールクルムは狼狽え、ウェスペルは静かに
「……この辺りに現れる
とルーナムと呼ばれた男は静かに告げた。
×
「楽しかったな」
帰り道、やや鼻歌混じりに橙花は歩く。
「わたし、パレットと契約してなかったけどみんなとおんなじ場所に行けてよかった」
そう、安堵していた。
実際、橙花以外のみんなはパレットが指輪を作っていたが、橙花の指輪は自前だからだ。
「
今日を振り返って小さく呟いた。
「……じゃあ、『
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