第19話 お姫様は赤くなる。
メルは、ガルーダ王国国王に聞く。
「その赤竜は、チーロンと言うのですか?!」
「名前までは………しかし、ルシア帝国の北にあるアッソ火山の守り神だと聞きました。」
リヴァイアは、腕でゴシゴシ涙を拭いて言う。
「やっぱりチーロンなのだ。
チーロンが負けたのだ!
……………チーロンに念話してみるのだ!
嫌々やらさせれているなら可哀想なのだ。
ご飯食べさせてもらってないかもしれないのだ!うっ、え〜ん!え〜ん!」
「リヴァイア〜。念話って?!
離れていてもできるの〜?」
「うっうっぐ。姫姉ちゃん!
出来るのだ!
やってみるのだ!
苦しんでいたら、大変なのだ!
……………助けないといけないのだ。」
リヴァイアは、目を瞑って集中する。
そして、言う。
「姫姉ちゃん!チーロンと繋がったのだ!
姫姉ちゃん!王子!リヴァイアの手を取るのだ。一緒に聞いて欲しいのだ。」
メルとアラン王子は、リヴァイアの手を取る。
すると、頭の中に、声が聞こえてきた。
(リヴァイアサンの姉様………。
たっ助けて………くっ苦しい。
せっ精神を持っていかれる……。
精神を乗っ取られて……その辺のまっ魔物と同じように……なってしまう……姉様……!)
(ちっチーロン!助けにいくのだ!
リヴァイアが助けにいくのだ!
何が、何があったか言うのだ!)
(火山の火口で………寝ていたら……気付いたら首輪をされていました……
隷属の首輪………。逆らえない。
そして………精神を……持って行かれる……
た……すけ………て。)
(ちっチーロン!チーロン!チーロン〜!)
チーロンは、その後、返答することは無かった。
「姫姉ちゃん!『リヴァイア〜。わかったから〜。何も言わなくていいの〜。でも〜色々準備が必要よ〜。私達も全く知らない場所なの〜。そこのガルーダ王国の者達に色々聞いて〜慎重に動きましょう!』
アラン王子がリヴァイアの頭を撫でながら言う。
「そうだな。其方の妹なら、助けないとな。
それに、あの苦しそうな声を聞いてしまったら、捨て置くことなど出来ない!
しかし、リヴァイア。メルが言った通り、準備と作戦が必要だ。
しばし、時間をくれ!良いな!」
「ひっ姫姉ちゃん!一緒に!チーロンを助けてくれるの?!」
「当たり前でしょ〜。リヴァイア〜貴方は〜家族なのよ〜
家族を〜一人で〜戦いに行かすはずがないでしょう〜。
貴方の妹なら〜チーロンも家族じゃない。
助けないとね〜!」
すると、ケインがやってきて言う。
「ということは、メル!
父様達も共に行っても良いよな!
家族だもんな!」
「ふふふっ。父様〜は、そう言ってくださると〜思ってました〜。
ルシア帝国、見知らぬ国相手です。
父様達〜元勇者パーティのお力が〜必要です〜。過剰戦力くらいで〜望むのが〜良いでしょうから〜。」
「ハハハッ!ヨシっ!わかった!
じゃあ!俺は一旦王国に帰って、陛下に報告してくる!
東大陸のルシア帝国が西大陸に来ないよう、トーア国と共同で倒しに行くとな!
おい!サイラス!
帰るぞ!」
「待って〜!髭のオッチャン!
髭のオッチャンの転移魔法って、行ったことのある場所だけかしら〜?
見えていたら〜転移できるのかしら〜?
それによって〜動き方も変わってくるの〜。」
サイラスが言う。
「メルちゃん!まあ、見えていたら細かい場所には無理だが、そうだな。まあ、仮に船から島が見えていたら、島の何処でも良かったら転移は可能だ!
あれだろ?
先陣で諜報活動だろ?!」
「ふふふっ。察しがはやくて〜助かるわ〜。
そういうことよ〜。」
「ハハハッ!へいへい、メル姫様!
メル姫様のお願いなら、しっかり爺、婆やを配達するぜ!
久しぶりにメル姫様にコキ使われるのも悪くないぜ!
懐かしいからな!」
「ふふふっ。おかしいですわ?〜コキ使ったことあったかしら〜記憶にありませんわ〜ふふふっ。
じゃあ、それで予定していますわ〜。」
ケインとサイラスは、そんなメルに手を上げて応えて、転移魔法で王国に飛んだのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ガルーダ王国国王は、メル達に言う。
「……てっ手を、手を貸していただけるのか?!
ルシア帝国と戦うということは、そう言うことであろう!」
メルは、ガルーダ王国国王に圧を飛ばす。
「うっががが。いっ息が……。」
メルは、圧を解く。
「ふふふっ。勘違いはしないで〜。
お前達に〜手を貸すのではないの〜。
リヴァイアの妹を〜助けに行くの〜。
家族だから〜。
結果〜ルシア帝国を潰すことになるでしょうね〜。
侵攻意欲のある〜国ですもの〜東大陸だけで〜満足しないでしょう〜。
西大陸は〜今見ての通り〜国同士が仲良くしている。平和なの〜。
西大陸が狙われる前に〜そんな国は消さないと〜。
でも〜。調査が必要よ〜。
本当に〜ルシア帝国が悪なのか〜。
もしかしたら、お前達〜ガルーダ王国が〜悪かもしれないから〜。その判断は、まだできてないの〜。
現に〜お前達は〜西大陸に理由はあれど〜一度牙を剥いたじゃない〜。
だから〜持ってる情報全て私達に提供なさい。
ルシア帝国が悪で〜私達が潰すべき相手だとしたら〜潰した後は〜貴方達の好きにすればいいわ〜。
民も連れて逃げてるという事だけ〜評価してあげるわ。」
「なっなんでも協力は、させて頂く!
どうか、どうか信じて欲しい。」
アラン王子が言う。
「では、さっさとラトリシアとシェールに賠償金を支払うんだな。
お前達の民も、ずっと海上の上。
疲弊しているだろう。
一時、トーアで保護してやる。
民に罪はないからな。
お前達王族と、騎士は善悪が証明されるまで捕虜とさせて貰う。
捕虜といっても、我らトーア国は、非道なことはしない。
お前達も、もうわかっただろう?
我らトーアの強さを。
姫ばかりが、目立ったが、ここにいるトーアの従者達は全員強いからな。
お前達を鎖で繋ぐ必要もないからな。
ハハハッ。」
「アラン〜ちょっと待って〜。
姫ばかりがって〜私これでも力ほとんど使ってないわ〜。」
シャドウが言う。
「姫様。指輪三つ外しておいて、よくそんなことお言いになる。
普通の人間なら、姫様が指輪を外すことが脅威ですぞ!ハハハッ!」
婆やが言う。
「さあ。姫様もうよろしいかと。
指輪をはめてくださいませ。」
メルは指輪をはめていく。
「どうして〜私〜指輪を外したのかしら〜?
なんでだった?
アラン〜なんでだった?」
アランが言う。
「ガルーダ王国の王子がリヴァイアとルリアナ、リリアナを貸せと言ったことに、瞬発的にキレたんだよ。メルの地雷に奴は触れてしまったんだよ。」
「あっ!そうでしたわ〜。
まあ〜仕方ないですわ〜。
しかし、まだその王子目を覚さないの〜?
なんて軟弱なのかしら〜。」
メルのとぼけた言葉の内容に、ラトリシアの王族とシェールのドルトン王とアマンダ王妃は笑った。
「ギース王子〜。私とアランが〜心配することではありませんが〜。
ギース王子は、本当に、あの姫と離縁されるのですか?
私達トーアの者の手前、言っているのなら〜。ねえ、アラン〜?
私達はもう良いよね〜。」
「ああ。我らの事は、もう良いぞ。
ギース王子。
まあ、彼女も今回かなり薬になったのではないか?」
ギース王子は、苦笑いしながら言う。
「メル姫。アラン王子。
気遣い感謝する。
…………積み重なったことだ。
簡単には許すことができない。
離縁の方向で……進めていくつもりだ。」
セシル姫が口を開く。
「ギース王子。冷静に考えたほうが良いです。
ねえ。ガース。
私は、メルちゃんの言葉を借りるようですが、家族だと思ってカレン姫とお付き合いをしておりました。だから、正直、そうなってしまうと……悲しいです。」
ガース王子が言う。
「セシルは優しいな。
お前が一番カレン姫に嫌味を言われていたのに。
私は、ギースの思うようにすれば良いと思う。ここ最近、お前は父様母様だけでなく私達にも謝ってばかりだったからな。
気苦労も多かっただろう!」
ギース王子が言う。
「まさかな……あんな女になるとは思わなかった。婚約するまでは、気の良い女だったのに。
婚約したとたん豹変したからな。」
メルが言う。
「お見合いなんて〜選択をするからですよ〜
ガース王子とセシルちゃんを見て〜恋愛で結ばれて〜今も〜ラブラブですわ〜。
ギース王子も〜恋愛をしたら良かったのですわ〜」
ギース王子が呆れた顔で言う。
「それをメル姫が言うか?
私も恋をした。あっさり振られたが。
振った貴方に言われると、胸を抉られるようだ。全くの脈なしだったと今でならわかるが、あの頃は私も若かったのだよ。」
セシル姫が言う。
「メルちゃん。私とガースだけではありませんよ。
メルちゃんとアラン王子もラブラブではありませんか!
何かにつけ、アラン王子に甘えておられるんだから。
ジョル君もネネちゃんとラブラブで。
トーア国は、なかなか見せつけてくださりますわ。」
メルは赤くなる。
それを見た皆が笑ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ガルーダ王国国王は、ラトリシアとシェールに賠償金を支払った。
メル達は、ガルーダ王国の王族を連れて城から出て行った。
トーアに帰る為に。
ガルーダ王国の王族を船に乗せて、メル達は船でトーアに戻ったのだった。
近衛騎士団は陸路でトーアに戻った。
トーアに戻ったメル達は、ガルーダ王国の民達をトーアに招き入れた。
臨時に凄い量の仮設テントを建てて、一時保護をしたのだ。
仮設テントを建てるのには、トーアの民も皆手伝ったのだ。
トーアの民が手伝ったのは、アラン王子とメル姫が率先して、テントを建てていたからだ。
民は、王族の背中をしっかり見ていた。
皆の協力で一気にテントが立ち上がったのだった。
そして、メルとアランの呼びかけで、炊き出しも民達がボランティアで始めてくれたのだった。
メルとアランは、民に感謝したのだった。
ガルーダ王国の姫達は、そんなメルとアランを見て、感謝し涙した。
自分達の民に、ここまでしてくれたことを感謝したのだった。
その頃、トーアの王城では、シャドウ達に連れられてガルーダ王国の国王と王妃、王子が
城の一室に通された。
シャドウが言う。
「其方達の姫二人は、うちの姫様とアラン王子とともに、其方達の民の為にテントを建てている。
トーア国国王への謁見は皆が揃ってからのほうが良いとのことだ。
しばし、寛ぐが良い。」
婆やがお茶を淹れて持ってくる。
「姫様は、捕虜と言われましたが私達には他国の王族として、接するようにとのことでございます。
何か御用があれば、私、婆やに何なりとお申し付けくださいませ。
まあ、ないとは思いますが、トーア国の王族には、失礼のないようお願いいたします。
特に、ザラ王子。
貴方は、少し言葉にお気をつけてくださいませ。
二度と姫様の地雷に触れぬようお願いいたします。」
ザラ王子は、思い出して顔を青ざめたのだった。
そして、その後メル達も帰ってきて、ガルーダ王国の王族達は、トーア国国王と王妃に謁見をしたのであった。
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