第18話 お姫様は雑に扱う。

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こちらのお姫様シリーズに、昨日、お嬢様シリーズを誤投稿してしまいました。

申し訳ございません。

コメントで教えて下さった方ありがとうございました。

改めて、皆様に支えて頂いていることを実感いたしました。

ありがとうございます!


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ケインの登場とフィリア王国国王陛下の意見状で、シェールの公爵とカレン姫が青ざめる。


それを見て、メルが気分を害した。


「何なんですか!

トーア国には恐れはなく、フィリア王国には恐れを抱くのですか!

父様を呼んだのは私だけど〜

なんか腹立ちますわ〜。

父様〜もう帰って〜。

もう良いわ〜。」


これには、ケインは腰から崩れそうになる。


「おい!メル!それは、あんまりじゃないか!

父様は、今日朝からどれだけ走りまわったと思ってんだよ。父様の扱いが雑すぎんか?」


シャドウとネネ、爺、婆やが笑う。


そして、ネネが言う。

「ふふふっ。公爵のおじ様〜。

姫姉様に振り回されて〜お可哀想に〜。ふふふっ。」


シャドウが言う。

「ハハハッ!ネネ様。違いますぞ。

ケイン様は、姫様に振り回されて喜んでおるのですぞ。」


ケインが言う。

「ネネ!シャドウ!お前らのほうがメルに振り回されてるだろう!

シャドウなんか、メルが生まれてからずっと振り回されてるんだからな!

それなのに、トーアまでついて行きやがった。どれだけドMなんだよ!

そう思わんか?!セシル姫!」


セシルが笑いながら言う。

「ふふふっ。フォスター公爵様。

メルちゃんの周りにいたら振り回されるのが、段々心地良くなるのですよ。ふふふっ。」


メルが笑いながら言う。

「えっ〜!セシルちゃん〜あんまりだわ〜。

王国時代〜セシルちゃん達を振り回していたの〜?ふふふっ。なんか〜可笑しくなってきちゃった〜。アラン〜落とし所は〜もう〜できたかしら〜?ふふふっ。」


アランも笑いながら言う。

「ハハハッ!流石。義父様です!

義父様に場の空気全部持っていかれました。

ハハハッ!」


「ハハハッ!アラン!お前、それ褒めているんだろうな!」


「はい!尊敬いたしておりますよ。

義父様。フィリア王国国王陛下にお伝えください。

トーア国は、ラトリシア国とシェール国の謝罪を受け入れたと。

とその前に、ラトリシア国王、シェール国国王。

リヴァイアに詫びを入れてくれますか。

それで、トーア国は納得いたします。」


ラトリシア国王が言う。


「それは、当然だ。

リヴァイア殿。助けて頂いたにも関わらず失礼なことをした。申し訳ない。許して頂きたい。」


すると、ラトリシアの国王だけでなく、王妃、ガース王子、セシル姫、ギース王子が同じく頭を下げた。


続いて、シェールのドルトン王とアマンダ王妃がリヴァイアの元にいき、頭を下げる。


「うちの公爵と、その娘が失礼なことを言った。申し訳ない。許してほしい。」


リヴァイアは、ケーキを食べていた手を止めて答える。


「………全然いいのだ。

トーア国の守護者のリヴァイアなのだ。

トーアの王子と姫が許したのなら、それで良いのだ。

リヴァイアは良い子だから、気にしないのだ。」


するとケインがリヴァイアを抱き上げて言う。


「リヴァイア!お前は良い子だな!」


「姫姉ちゃんの父ちゃん!降ろしてほしいのだ。リヴァイアは、大人しくケーキとクッキーを食べているのだ。良い子だから。」


一気に和やかな雰囲気になった。

シェールの公爵とカレン姫を除いて。


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本題に移るため、アラン王子は、ガルーダ王国の代表5人を連れてくるよう近衛騎士に指示した。


シェール国公爵とカレン姫は、別室に場所を移された。


そして、ガルーダ王国の代表5人が到着した。


国王らしき男と王妃らしき女性。

そして、第一王子と名乗っていたザラ。

そして、姫が二人。

姫は、メル達と同じくらいの歳頃のようだ。


第一王子ザラが代表して、語り出す。


「我らは、ガルーダ王国。東大陸の西大陸側に国を構えている。

いや、構えていただな。

民も連れて、船60隻で国を捨てたのだ。

それ「待って。」


ザラの言葉に待ったをかけたのは、メルだった。


メルが言う。メルの雰囲気が変わる。


「ガルーダ王国は〜どこまでも〜愚かな国なのですね。

聞きます。

答えなさい。何故第一王子の貴方が語る。ラトリシアの国王と王妃、シェール国国王と王妃の前で。貴方で釣り合うとでも思っているのですか?


答えなさい。ガルーダ王国国王!王妃!

ガルーダ王国の事情を語る前に、まずすることがあるでしょう!

わかっていますか?貴方達は返り討ちにあったのですよ!


貴方達は、動力の断たれた船で漂流したいのですか!

態度をあらためなさい!

そして答えなさい!」


すると、ガルーダ王国国王が口を開く。


「誠に申し訳ない。おっしゃる通りだ。

まず、謝罪を。


国を侵略しようとしたこと、誠に申し訳ございませんでした!

許して頂きたい。


そして、ザラ王子が私の代わりに語ろうとしたこともお詫びする。

そちらの姫のおっしゃる通りだ。」


アラン王子が言う。

「敗戦国という自覚がおありか?

こちらが、誰も殺さずをモットーにして動いた結果が敗戦国の自覚を欠くものとなるのなら、今すぐにでも、我国の軍艦の魔道砲で、其方達の船に風穴を開けてやるが、どうする!」


「まっ誠に申し訳ございません。

侵略しようとしたこと心からお詫びする。申し訳ございません。」


「アラン〜この国は〜本当ダメよ〜

なんで〜アランと私に謝ってんの〜。

謝るべき相手すら〜わかってないわ〜。」


ケインが言う。

「アラン!メル!お前達二人少し黙ってろ。

お前達が言ってることは、正論だが。

お前らは所詮援軍に行った国だろ。

対象国のラトリシアとシェールが主導で話し合いを進めるべきだ。

だから、ガルーダ王国だったか?

その国も謝るべき相手がわからんのだ。」


メルが言う。

「なんだ〜父様〜。まだ帰ってなかったんだ〜。暇なの〜?リヴァイアを膝に抱いて。」


ケインが言う。

「メル!一応王国の公爵として、東大陸の国が西大陸に侵略してきたことは、みのがせないだろが!陛下にも報告せんとならんし。

父様は仕事してんだよ。」


「ふふふっ。父様〜。

わかりました〜そんなに拗ねて〜

お可愛いこと〜。ふふふっ。

まあ、そうですね。父様の言う通り〜

アラン〜私達は黙っておきましょう。」


「そうだな。では、ラトリシア国王。シェール国国王、話を進めて下さい。」


主導権を、ラトリシアとシェールに移したのだった。


その後、ラトリシアとシェールに対して、ガルーダ王国が賠償金を支払う形となったのだが、通貨が西大陸と東大陸では違ったのだ。

おなじ白金貨でも、柄が違う。

西大陸では、通貨として通用しないのだ。


そこで取った策は、白金貨を受け取り、ラトリシアとシェールで溶かして西大陸の通貨に変える策を取ることにしたのだ。

手間賃として20%上乗せする形で、話は片付いたのだった。


そして、ガルーダ王国の今回このような形に至った経緯の説明が始まる。


「我ら、ガルーダ王国は東大陸の西大陸に面した国であった。

それなりに、繁栄していた国だった。

ある時、隣りのルシア帝国が攻めてきた。

以前から睨み合いが続いていたのだが、ルシア帝国が赤竜を使役して、赤竜がガルーダ王国内で大暴れしたのだ。

その脅威に我らは、国を捨てる覚悟をしたのだ。

そして、生き残った民も連れ、船80隻で逃げたのだ。

西大陸に希望を持って。」


メルが久々に口を開く。

「80隻?今残ってるのは、60隻でしょう。

20隻はどうしたのよ〜。」


王は、悔しそうに言う。

「逃げる際に、赤竜によって破壊されました……。」


メルは、表情を変えずに言う。


「西大陸に希望を持ってと〜言ったけど〜侵略しようとしたわよね〜。

何悲劇のヒロインのように物を言ってるのかしら〜。

貴方達がしようとしたことは、そのルシア帝国?とかいう国と一緒じゃない。

最初から対話する気もなかったでしょう!

避難の受け入れ要請とか〜選択肢があったはずよ〜。

いっておきますが〜貴方達の愚かな選択で、本当ならば、今頃貴方達は海の藻屑となっていたのよ。

理解していますか!

避難要請を最初からしていれば〜

こんなに〜私達も〜心を閉ざす必要もなかったのよ!」


メルのこの言葉に、ラトリシア国国王もシェール国国王も深く頷いていた。


メルは続ける。


「それで、貴方達は我々に何の話があるのですか!

自分勝手なことばかりではありませんか!」


すると、ガルーダ王国の第一王子のザラが言う。


「ラトリシアとシェールという国が、我らが侵略しようとしていた国というのは、理解した。

では、貴方の国は何と申すのだ?」


メルは、その瞬間指輪を三つ一気に外した。


メルから膨大な魔力が溢れ出す。

すぐに、メルは吸収する。

そして、ザラに向けてとんでもない圧を飛ばした。


「うっ!あががが!いっ息がっ!………」


メルは圧を解いて、言う。


「第一王子ザラ〜!

口の聞き方を気をつけなさい〜。

我らトーア国。ラトリシアの隣りにある国よ〜。

それを聞いて〜何か?」


「ふぅふぅふぅ。やっやはり圧倒的、強者だ。

そして、竜を使役し、聖獣フェンリルも。

わっ我らに!我らに力を貸しては貰えぬか!

頼む!この通りだ!」


ザラは、その場で土下座して願った。


メルは言う。

「嫌よ〜。

何故我らトーア国が力を貸さないといけないの〜?奪われた国を取り戻すってこと〜?

ご自分達で〜どうぞ〜。

我らになんの利もないじゃない〜。

馬鹿なの〜。」


「でっでは!礼をするから、竜と聖獣フェンリルを!貸して貰えないか!」


メルは、一気に魔力を高めて、ザラ目掛けて創造魔法を発動する。


「創造魔法〜"sacred chain" 」


その瞬間、ザラの体を光の鎖が縛り上げる。


「うっ!ががががが!」


メルが言う。


「口の聞き方を気をつけろと言っている!

我家族を〜貸せと〜?!

まるで〜物のように〜!

舐めるのも〜大概になさい〜!」


メルは、更に力を込める。


すると、ガルーダ王国の王と王妃、姫が土下座をして懇願する。


「どうか!無礼を、お許しください!お願いします!お願いします!」


メルは、創造魔法を解除した。


ザラは、気を失っていた。


メルは国王に言う。


「ガルーダ王国国王!

その者が私に言ったこと〜其方達はどう考える〜?

なら〜私が同じことを〜言ってあげるわ〜。

そこの姫二人〜。我らの国に貸しなさい。

ルシア帝国に〜餌のように掘り投げてあげるから。

……………そう言うことでしょ。

違いますか!

リヴァイア〜ルリアナ〜リリアナ〜

立ちなさい〜。」


メルの言葉を受けてリヴァイアとルリアナ、リリアナが立つ。


リヴァイアは、ルリアナとリリアナに手を繋がれていた。


「ガルーダ王国国王!

この3人がその者が言った、竜と聖獣フェンリル。

其方の姫と何が違う。

答えなさい!」


「……………すっすまない。

もっ申し訳ございません!重ね重ね無礼を、お許しください。」


するとリヴァイアが口を開く。


「姫姉ちゃん!

リヴァイア!良い子でクッキー食べながら話を聞いていたのだ。

そのジジイが言う赤竜って?

チーロンのこと?

聖霊竜チーロン!赤い竜なのだ。火を司る竜なのだ!」


メルが言う。

「リヴァイア〜知り合いなの〜?」


リヴァイアが言う。

「チーロンは妹なのだ。歳は一緒なのだ。

リヴァイアのほうが少し早く生まれたから姉ちゃんなのだ。

チーロンも良い子なのだ。

チーロンは火山の中にいるはずなのだ。

なんで出てきてるのだ?」


メルが言う。

「ルシア帝国の者に負けて、ルシア帝国に仕えているとか?」


「姫姉ちゃんみたいに強い人間が、他にも居るのか?

怖いのだ!

姫姉ちゃんは、本当は優しい人だから良かったけど、悪い奴なら怖いのだ!

え〜ん。え〜ん。」


リヴァイアは泣き出した。


メルは、こめかみを指先でコンコンしながら考えたのだった。


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