第11話 お姫様は、里帰りする。
メルは、アランに言った。
「アラン〜。久しぶりに王国に里帰りをしようと思うの〜。
アランは〜お暇を取れそう?」
アランは、懐から紙を取り出してスケジュールを確認する。
「うん。明後日から一週間は奇跡的に何もないぞ!」
「では〜共に〜行ってくれる〜?
父様も母様も喜ぶと思うの〜。」
「ハハハッ!喜んで行くよ!
私にとっても、王国は第二の故郷だからな!
ネネも一緒に連れて帰るだろう?
ジョルノも行くだろう!
婆やと爺、シャドウにルリアナ、リリアナも。
………リヴァイアは、どうするのだ?」
「リヴァイアも〜連れて行くわ〜
リヴァイアだけ残しても〜義父様と義母様も困るだろうし。」
「ラムも帰ると言うだろうな!
ゼフィロスに警護ということで、ゼフィロスも王国に行かすか!」
「ゼフィロス団長が居なくて〜大丈夫かしら〜。」
「騎士達も、もっとしっかりしてもらわないといけない。だから、団長の留守くらい守れるようになってもらわないと。
だから、丁度良い。
陛下と王妃には私から話をしとく。
フフフッ。王国か!懐かしいな!
二年ぶりか!」
「なんか〜私より〜アランのほうが〜楽しんでいませんか〜?」
「ハハハッ!そうだな!
でも、しょうがないじゃないか!
私も五年王国で過ごしたのだからな!
どうするのだ?馬車でいくのか?
魔導列車でいくのか?」
「魔導列車で行きましょう!
そのほうが早く着くから〜。」
メルの里帰りが決まったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして、魔導列車の中にメル達は居る。
「リヴァイア〜貴方さっきから〜弁当何個目なの〜?」
「もぐもぐゴクン!
姫姉ちゃん!5個目なのだ!
もぐもぐゴクン。
美味いのだ。千年寝ている間に、美味いものいっぱいなのだ。」
「リヴァイアは、千年以上ということは私やリリアナ、シャドウ様より年上なのに、なんで子供の姿なのよ。
おかしいです。」
「もぐもぐゴクン。
ルリアナ〜。リヴァイアは、聖霊竜なのだ!
寿命は、果てしないのだ。
だから、リヴァイアは、まだまだ子供なのだ!
もっと、もっといっぱい食べて、姫姉ちゃんより強くなるのだ。もぐもぐゴクン!」
シャドウが言う。
「リヴァイア、姫様より強くと言うが、姫様の本気を見たことないだろう!
こないだの姫様は、魔法もほとんどお使いになっていない。」
「もぐもぐゴクン。
姫姉ちゃんの強さは、リヴァイアは良くわかっているのだ。
二千年もすれば、追いつくのだ。」
「リヴァイア〜二千年って〜。
私は〜人なのよ〜。
人は、百年も生きれないのよ〜。」
「えっ!…………
いっ!いやなのだ!
まっまた一人になる………
いっいやなのだ!
……………え〜ん。え〜ん。」
リヴァイアは泣きだしたのだ。
「………リヴァイア〜。
種族が違うの〜。仕方ないことなのよ〜。
でも〜良く聞いて〜。
リヴァイア〜貴方は〜
これから〜数千年の間〜決して一人になることは〜ありませんよ。
貴方が〜トーア国を守る者として〜トーア国に存在してくれるならば〜私達の子孫が〜常に貴方の側にいるでしょう。
リヴァイア〜。貴方は良い子なのでしょう。
永遠に〜トーア国の守護者となってくれるでしょう?」
リヴァイアは、涙を腕でゴシゴシ拭いて言う。
「……リヴァイア……良い子なのだ。
姫姉ちゃん〜リヴァイアは…トーア国を守るのだ。
でも……姫姉ちゃんが……居なくなるのは嫌なのだ。
え〜ん。え〜ん。」
メルは、リヴァイアの頭を撫でて言う。
「ふふふっ。まだまだ〜死なないわよ〜。
はい〜食べなさい〜。
まだ〜沢山弁当〜買ったのでしょう〜。」
「……姫姉ちゃんが……居なくなっても……
いっぱい食べさせて……くれる?」
「ふふふっ。
私と〜一緒で〜リヴァイアは〜食いしん坊ね〜。
大丈夫よ〜。トーア国の王族は〜お金持ちなんだよ〜。
私が〜死ぬ前に〜ちゃんと〜言っといてあげる〜。
リヴァイアは〜いっぱい〜食べないと〜駄目だって〜。ふふふっ。
早く〜弁当を食べなさい〜
王国の王都に着く前に〜。」
「うん!食べるのだ!
王国にも、美味しいものはある?」
「あるわよ〜いっぱい〜。
ふふふっ。
そうね〜
私のお友達の〜レストランに連れて行ってあげるわ〜。ハンバーグが最高なの〜。
あっ!オムライスも〜!」
シャドウが言う。
「ふむ。確かに!
リヴァイア。あのハンバーグとオムライスは、王国に来たら必ず食べんといかん。
美味いぞ!
ここに居る者全てが、大好きだ!」
ルリアナとリリアナもシャドウの言葉に反応し、頷く。
リヴァイアは、目を輝かせて言う。
「姫姉ちゃん!約束なのだ!
リヴァイアは、姫姉ちゃんのお友達のレストランに行きたいのだ!
ハンバーグとオムライス……楽しみなのだ!」
「ふふふっ。
はいはい〜行きましょうね〜。王都に着いたら〜直ぐに行きましょう。
あっ!でも〜リヴァイア〜お腹〜大丈夫〜?」
「余裕なのだ〜!」
皆が笑ったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
王都のフォスター家では、一足先にラムがトーア国から来ていた。
メルの父ケインと母ローザに、メルの帰郷を知らせる為にだ。
「ラム〜どうせ〜メルちゃんのことです〜真っ直ぐは帰ってこないでしょう。
私〜一度教会に行ってくるわね〜」
「えっ!え〜!
姫様が里帰りされるのに〜
ローザ様が居なかったら〜姫様が〜がっかりされますよ〜!」
「大丈夫よ〜ラム〜。
私が居なかったら〜教会に行っていると〜
メルちゃんなら〜わかってくれるから〜
変わりに〜ラムが居てくれたら〜いいの〜」
「ラム!頼むぞ!
俺も、ちょっと出てくるから!」
「えっ!え〜!ケイン様まで!
どっどこに行くんですか〜!」
「おお!黒き森だ!
なんだその聖霊竜とかいう子は、メチャクチャ食べるんだろ?
食糧調達してくるわ!」
「待って!待って下さいよ!
両親二人とも居ないなんて〜
姫様が恥をかくじゃないですか!」
「ば〜か!恥かくって、誰に?!
一緒に帰ってくる奴も見知った奴らじゃねえか!
元、家族みたいなもんだろう!
豪華な食事で迎える!この親心がお前には、わからんのかよ!」
「うぐぐぐぐ。お二人とも、早く帰って来て下さいよ!頼みますよ!」
「ラムは〜あいかわらずね〜
メルちゃんのことに〜なると〜
必死なんだから〜!」
「じゃあ!頼むぞ!ラム!」
ローザとケインは、屋敷を出て行ったのだった。
ラムだけポツンと屋敷のリビングで取り残されたのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
メル達は、王国の王都に着いた。
その足で、リヴァイアが楽しみにしているシェリルの実家のレストランにお昼を頂きに行く為、商業街を歩いていた。
ケインがフォスター家から白馬車を用意していてくれたのだが、メルが久しぶりに王国を歩きたいと言い出したため、歩いて移動していた。
商業ギルドの前に差し掛かった時、中からサイラス商業ギルド統括が飛び出してきた。
「メルちゃん!アラン王子!
それに、シャドウ達も!爺と婆やも!
おっと!ネネちゃんとジョルノ君もいるな!
そして、これはこれはトーアの騎士団長のゼフィロス殿!
トーア国の御一行が、突然どうした?!
どおりで、なんか騒ついていると思ったぜ!」
「髭のおっちゃん〜あいかわらず〜元気そうね〜レナおばちゃんと仲良くしているのかしら〜?
二年ぶりの里帰りよ〜。
シェリルちゃんの実家のレストランに行こうと思って〜」
「そうなのか!
レナも元気だぜ!仲良くしているかと言えば、どうかな?知らんが!
今の時間帯なら、レストランいっぱいだぜ!
ここで、シェリルに作ってもらえ!
ここのほうが、ゆったり食事できるぞ!
シェリルに言ってきてやるから!
ハンバーグとオムライスだろ!?
任せておけ!
さあ!王子もどうぞどうぞ!」
メル達は、サイラスに背中を押されるように商業ギルドに入っていく。
サイラスは、その足でシェリルのところに走って行ったのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シェリルが商業ギルドで出張調理をしていた。
サイラスは、ミレーネも呼んできたのだ。
ミレーネが山程クッキーとケーキを持ってきて、今、商業ギルドは、ちょっとしたパーティ会場のようになっていた。
ミレーネが持ってきたクッキーとケーキを一心不乱に食べているのが、リヴァイア。
「もぐもぐゴクン!
姫姉ちゃん!凄く甘いのだ。
リヴァイアは、ビックリなのだ!
王国に、こんな美味しいものがあるとは!」
「リヴァイア〜貴方〜ハンバーグと〜オムライスもあるのよ〜
わかってる〜?」
「大丈夫なのだ!いくらでも〜食べれるのだ!」
サイラスは、リヴァイアの頭を撫でながら言う。
「メルちゃん!この子が聖霊竜リヴァイアサンなのか!
えらく可愛いじゃねえか!
竜化したら、デカくなるんだろう?
メルちゃんには、なんで強い奴が集まるんだ!」
リヴァイアが言う。
「もぐもぐゴクン。
それは、姫姉ちゃんが強いからなのだ!
リヴァイアも、コテンパンに負けたのだ。
痛かったのだ。え〜ん。え〜ん。」
「泣き出したぞ!
なんだこの可愛い生き物は!」
「ふふふっ。
リヴァイア〜泣くのか、食べるのか〜
どっちかに〜しなさい。」
「食べるのだ。
リヴァイアは、良い子だから、いっぱい食べるのだ。」
「は〜い!ハンバーグとオムライス!出来たよ!メル姫!」
「シェリルちゃん〜ありがとう〜でもまだまだ食べるの〜リヴァイアが〜」
「オッケー!任しといて!
いくらでも作るわよ!
私は料理のプロよ!ガンガン作るわよ!
リヴァイアちゃん!ガンガン作るから!
ガンガン食べなさい!
支払いは、王子!しっかり頼むわよ!」
「ハハハッ!シェリル嬢は、変わっていないな。支払いは、任せてくれ!
たっぷり持ってきたからな!」
その時、商業ギルドに飛び込んできた者が二人。
アリスとミーアだった。
「メルちゃん!久しぶり!」
「メルちゃん〜元気してた〜」
「ミーアちゃん〜!アリスちゃん〜!
なんで〜なんで帰ってきてるの〜わかったの〜?」
「なんでって、今王都中凄いことになってるよ!
天使が帰ってこられた!とか、メル姫がトーアから来られた!とか!
ほら!見てみなよ!外!」
商業ギルドの外は、メルの姿を一目見ようと集まった王国の民で溢れていたのだ。
「うわぁ〜いつの間に〜!
食べることに集中してたから〜
気づかなかったよ〜
ふふふっ。
アラン〜少し〜顔出してきて良いですか〜?」
「ああ!そうしたほうが、良さそうだな。
シャドウ、ルリアナ、リリアナ警護を頼めるか。」
「はっ!姫様。あまり動き回らないでくださいよ。」
「ふふふっ。わかってるわ〜。」
メルは、シャドウ達を連れて民の前に出て行ったのだった。
民達の歓声が王都に響き渡るのだった。
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