第12話 お姫様は、関係良好

商業ギルド前で、久しぶりに王国の民に姿を見せたメルは、王国の民の歓声に笑顔で応えた。


そして、数分後商業ギルドの中に戻ってきた。


メルが戻って来た時、リヴァイアが、ミーアとアリスに抱きしめられながら、リヴァイアはハンバーグとオムライスを頬張っていた。


「メルちゃん〜何なの〜この子〜可愛いすぎる!」


「ミーアちゃん〜アリスちゃん〜

可愛いでしょう〜

聖霊竜のリヴァイアサン、名前はリヴァイアなの〜。

まだ子供なの〜本当の体は大きいのだけどね〜。」


「大きくならなくて〜いいよ〜

可愛いいままで〜良いの〜。

ふふふっ。」


メルが、思いだしたかのように手を叩き、魔法袋に手を入れる。

取り出したのは、リヴァイアの鱗だった。


「ミーアちゃん〜これ〜何かに加工できる?

リヴァイアの鱗なの〜

聖霊竜の鱗だから〜かなり希少価値の高い物なの〜!ミーアちゃんとミーアちゃんの父様にお願いしようと思って〜」


「うわぁ〜綺麗ね〜

リヴァイアちゃんの鱗……。

リヴァイアちゃん!本当に竜なんだ〜

こんなに沢山!

痛くなかったの〜?」


リヴァイアが言う。


「……痛かったのだ。思い出したくもないのだ。

姫姉ちゃん、強すぎるのだ。

でも、もう新しい鱗になったのだ。

だから、今は痛くないのだ!」


「メルちゃん!こんな可愛い子、やっつけようとしたの!

ダメダメ!なにしてんの!」


アリスが、リヴァイアを抱きしめながら言った。


メルは、苦笑いしながら言う。


「違うの〜あの時は〜リヴァイアが〜悪い子だったんだよ〜。

リヴァイアが魔物を呼び寄せて〜

数万の魔物がスタンピードのように移動していたんだから〜。」


リヴァイアが、ニコニコ笑顔で言う!


「姫姉ちゃん!リヴァイアは、今は良い子なのだ。

トーアの守護者なのだ!」


「そっか!今は良い子なんだね!

メルちゃんに怒られて良い子になったのか!

それなら、いいや!」


アリスとミーアは、リヴァイアが可愛くてしょうがない様子だった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ねえ〜セシルちゃんは〜あれから〜帰ってきた?

セシルちゃん元気にしてるかな〜?」


「去年の夏に帰って来たよ〜。

元気と言えば元気だったけど〜

大変みたい〜。」


ミーアとアリスが顔を見合わせて言う。


「何が〜大変なの〜?セシルちゃんなら〜

マナーとかも〜一からでもないし〜。」


「う〜ん。ガース王子と王様と王妃様とは、上手くやっているみたいなんだけど。

ギース王子のお相手、元シェール国の公爵令嬢とね。少し微妙みたいだわ。」


「そうそう。

セシルちゃんが〜嘆いていたわ〜元公爵令嬢と聞いていたから〜メルちゃんを〜やっぱり比較対象としてセシルちゃんは〜思っていたみたいで〜仲良くしようと〜歩み寄って行ったらしいんだけど〜なんかこう〜遠ざけられるんだって〜そしてある時言われたんだって〜"貴方、元伯爵令嬢ですよね!王国の伯爵令嬢はシェールの公爵令嬢より、上だと思っているのかしら?"って。

思わず、セシルちゃん言葉が出なかったって。

ようは、自分は元公爵令嬢だから元伯爵令嬢の貴方が気安く声を掛けないでって〜事らしいわ〜。

当然、後でギース王子が謝罪に来たらしいけどね〜。

なんか〜ややこしそうよ〜。

継承権とかをやたら、気にして、セシルちゃんに何かとツンケンするんだって〜

メルちゃん〜シェール国の王族と知り合いだよね〜元公爵令嬢は〜知らないの〜?

私達〜それからとても心配で〜。

だって〜セシルちゃん〜涙溜めて言うんだよ〜王国に帰ってきて〜癒される〜!って」


「えっ!そうなの〜何なの〜それ!

セシルちゃんは〜仲良くしようと〜声を掛けているんでしょう〜

信じられないわ〜。

私が知り合いなのは、今もう国王陛下になったドルトン王とアマンダ王妃だけ〜

実質シェールには、一日しか滞在していないから〜他は全く知らないの〜。

そっかぁ〜そういう人間関係が上手くいかないの〜一番しんどいよね〜。

心配だね〜」


「メルちゃんは、前と変わらず楽しそうだね!

アラン王子とも、ラブラブなようだし!

メルちゃんは、人間関係で問題はないようで、良かったよ。」


すると、アランがやってきて言う。


「メルが、人間関係で困るはずがないよ。

メルは、今、皆からなんて言われているか知っているか?

トーアの宝と言われているのだ。

王妃は、早くメルに王妃を譲りたいと思っているのに、メルが、もっと姫を楽しませて!ってずっと、断っているんだ。」


ジョルノが言う。


「まあ、実際、今国を動かされているのは、王子と姫様です。

王子と姫様の視察で、物事が決まっていってますから。

陛下と王妃もそれを、良しとしてますからね。」


「ジョル君〜国を動かしているなんて〜

大層な〜。

アランも〜私も〜義父様と義母様に甘えて〜好き勝手やらせて頂いているだけだよ〜。

それを言ったら〜ジョル君とネネちゃんのほうが〜凄いと思うよ〜。

文官達を相手に話を進めているんだもの〜。」


ネネが言う。


「姫姉様〜私達が〜文官相手に物を言えるのも〜王子と姫の秘書官という肩書きがあるからです〜。

それと、ジョルノ様の父様宰相の力添えあってのことですよ〜」


「まあ。トーア国が人間関係が上手くいっているは、今ので良くわかったわ。

余計に、セシルちゃんが心配だわ。」


アリスは、心配そうな表情を見せた。

そこに、料理を終えたシェリルがやってくる。


「アリス!心配しても、何もならないよ!

離れているんだし。

セシルちゃんが帰って来た時に、思いっきり愚痴を聞いてあげたらいいんだよ!」


「うん。そうだね。

あっ!メルちゃん!

シェリルとレン様の話は聞いてる?」


シェリルが慌てだす。


「あっわわわわ!アリス!

義母様と義父様が!いらっしゃるのに!

やっやめてよ!」


すると、婆やがスッと寄ってきて言う。


「シェリルさん。姫様には、逐一報告していますよ。ふふふっ。」


メルは、婆やと目を合わせて、笑う。


「シェリルちゃん〜おめでとう!

婚約したんだってね〜。

婆やも爺も〜とても喜んでいたよ〜。

婆やが言ってたの〜。

料理の上手なシェリルちゃんが〜お相手で〜良かったと。

野菜を〜しっかり食べさせて貰わないと!って。そうだよね〜婆や。」


「はい。シェリルさん。

野菜を、嫌だと言っても強引にでも食べさせてくださいませ。

頼みますね。」


「あっわわわわ。わかりました!

まっ任せてくださいませ!」


爺がやってきて、言う。


「ハハハッ!シェリルさん!

気楽にお願いしますね。

おい。あまり、圧を掛けるなよ。ハハハッ!姫様も、煽らないで下さいよ。ハハハッ!」


爺の笑い声で、場が一気に和やかになったのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


結局、メル達が商業ギルドを出たのは、夕方になってからだった。


その頃フォスター家では、ローザとケインも戻ってきていた。


「ほら〜ラム〜言った通りだったでしょう〜。

真っ直ぐ帰ってこないって〜。

これでも〜メルちゃんの〜母なんですよ〜。

メルちゃんのことは〜良くわかっているのですよ〜。」


「……そっそうですけど〜。

姫様も〜ラムの存在を忘れているのでしょうか〜。ラム抜きで〜楽しまれて〜!

なんか〜悔しいです〜。」


「ハハハッ!

ラム!ゼフィロス殿も、ラムの存在を忘れているのかもな。ハハハッ!」


「…………ケイン様…………

泣きますよ。」


「ハハハッ!冗談だ!冗談!」


そんな事を言っていると、玄関からザワザワと声が聞こえた。


「おっ!帰ってきたんじゃないか?」


ケインがそう言ったときには、ラムは、もう居なかった。


「姫様〜!

遅い〜!遅すぎます!

ラム抜きで〜お楽しみになってるの〜あんまりです〜!」


「ふふふっ。ごめんごめん。

久々に、お友達に会ったら〜話し込んでしまったの〜。

あっ!母様!父様!ただいま帰りました!」


メルは、ローザの胸に飛び込んだ。


「ふふふっ。お帰りなさい!メルちゃん〜。」


「お帰り!メル!

アラン王子も、よく来てくれた!

ネネもお帰り!ジルとエルサは、明日領地から帰ってくるそうだ。

今日は、ここで休むといい!

ジョルノ君もよく来てくれた!ゆっくりしてくれ!

ゼフィロス殿、ラムが拗ねていたよ!

爺、婆やもお帰り!元気そうで何よりだ!

シャドウ!ルリアナ!リリアナ!お帰り!

それと、この子が聖霊竜か。可愛い子だな!

名は?何て言うんだ?」


リヴァイアは、驚いた顔で言う。


「姫姉ちゃんの父様、姫姉ちゃんと同じくらい、強いのだ!

リヴァイアは、ビックリなのだ。

強い人間が、なんでこんなにいるのだ?」


シャドウが言う。

「リヴァイア!姫様の父様は、強くて当たり前だ。元勇者なのだからな。」


「ハハハッ!リヴァイアと言うのか!

可愛いい奴だ!

リヴァイア!お前が、沢山食べると聞いているからな!

沢山、魔物を狩ってきたからな!

腹一杯食べろよ!」


「わ〜い!

リヴァイアは、一杯食べるのだ!

王国は、楽しいのだ!

食べることばかりなのだ!」


リリアナが言う。


「リヴァイア。ずっと、食べてばかりですが、消化できているのですか?

本当、ビックリです!」


「まだまだ余裕なのだ!

一杯食べて、リヴァイアは、トーア国を守る強い守護者になるのだ。

良い子だから。」


皆の笑顔が、弾ける。


ケインが言う。


「さあ!玄関でいないで、中に入ってゆっくりしてくれ!

それで、色々話を聞かせてくれ!」


この日、皆遅くまでケインとローザに話を聞かせたのであった。

ケインとローザは、メルが幸せに暮らしていることを喜んだのだった。



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