女海賊のメリッサ
剣士
「気晴らしに釣りでも行くか」
???
「おい、そこの小僧」
――振り返ると小さな女の子が立っていた。黒い三角帽子トリコーンを被っていて、真ん中にドクロが描かれている。
剣士
「小僧って俺の事か? どう見てもお前の方が年下に見えるんだが」
???
「失礼ね! アタシはこう見えて十歳だもん!」
剣士
「がっつり年相応じゃねえか。っていうか誰だよ」
???
「私は女海賊のメリッサだよ! お前は我がメリッサ海賊団に入りに来たのね?」
剣士
「ああ、海賊ごっこね」
女海賊
「むぅ、違うもん! ほらあの船を見て! アタシの海賊船だよ!」
――女海賊の指さす先には帆船が止まっている。
剣士
「はっはっはっ。あんな立派な船が? 冗談だろ」
女海賊
「野郎どもぉ! ヨーホー!」
――帆船の中から屈強な男たちが姿を現した。
船員たち
「ヨーホー!」
剣士
「ま、マジで? で、でもどうしてこんな子供の下に大人がこんなに」
船員1
「俺たちゃ全員ロリコンだぁ!」
剣士
「いやめちゃくちゃ歪んだ信念の元に集まってんじゃねえか!! こいつら危ねえだろ!」
女海賊
「お前も入りたくなったか?」
剣士
「いや、俺はロリコンじゃないから……。というか早急に海賊団を解体した方が良いと思うぞ」
女海賊
「うちの海賊団に入ったら特典が沢山あるんだよ」
剣士
「ポイントカードかな?」
女海賊
「先ずお魚食べ放題!」
剣士
「海鮮バイキングか」
女海賊
「それならワカメ食べ放題も付けるぞ!」
剣士
「ワカメ食いきったあと虚無感に駆られそう」
女海賊
「昆布もしゃぶり放題!」
剣士
「どういう情緒の時に昆布しゃぶり尽くしたくなるんだよ!」
女海賊
「海水も飲み放題!」
剣士
「殺す気か!」
女海賊
「魚の小骨も喉に詰まり放題!」
剣士
「それ俺に何を伝えたいんだよ!」
女海賊
「あとアタシのお馬さんになる権利も与えよう」
剣士
「いや、俺にそんな趣味は無い」
女海賊
「でもアタシのお馬さんになる権利を巡って月一で殺し合いになるもん」
剣士
「とんでもねえロリコンどもだな」
船員たち
「ロリホー!」
剣士
「うるせえ! っていうかお前ら本当に海賊団なのか? さっきから海賊要素がほとんど見当たらないんだが」
女海賊
「海賊要素って?」
剣士
「例えば他の町に略奪しに出かけたり……」
女海賊
「人の物を取ったらダメってお母さんが言ってたもん。お前も人の物を盗っちゃメ、よ?」
剣士
「あれ? おかしいな。何で俺は十歳児に説教されてるんだろう」
船員たち
「そーだそーだ! メリッサ様を見習え!」
剣士
「お前らまとめて通報してやるから覚悟しとけよ。じゃあ普段は何をしてるんだ? あの船は何に使ってるんだよ」
女海賊
「魚釣りとか」
剣士
「じゃあアレ漁船じゃねえか!」
女海賊
「さあ一緒に行こう!」
――剣士は船員たちに拘束された。
剣士
「うわあ! 離せ!」
女海賊
「いってらっしゃーい」
剣士
「お前は行かんのかい!!」
――この後めちゃくちゃ魚釣った。
つづく
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