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目次
ヒモの剣士は魔王討伐の夢を見るか？
剣士
「俺は魔王討伐に行くぞ！」
魔法使い
「何を言ってるんですか。やめた方がいいですよ」
「止めるな魔法使い。俺は世界に平和をもたらす存在になるんだ！」
「でも貴方は弱すぎて一度魔王討伐を諦めたじゃないですか」
「それは過去の話。今の俺はブラックタイガー並みに強いぞ！」
「ブラックタイガーってエビじゃないですか」
「早速これから行ってくるぜ！」
「待ってください。そこまで言うなら私の飼っているモンスターを倒してからにしてください」
「モンスター？」
「まあ毒物実験用に飼ってる奴なんですけど」
「今さらっと物騒な言葉が聞こえたんだが」
ーー魔法使いは赤いゴブリンを連れてきた。
「ちなみにこいつの名前は切れ痔です」
「お前には血も涙も無いのか！」
「早速切れ痔と戦ってもらいましょう」
「余裕で勝てるに決まってんだろ！」
ーー10秒後
「ぐわーっ！」
「瞬殺されてるじゃないですか」
「まだだ！ 俺は光魔法も使えるんだ！ うおおおお！」
ーー緑色の液体がドゥルルルと流れ出してきた。
「光魔法……？」
「何だこれはぁ！！！」
「知らんがな」
「まあ諦めてください。今の貴方は切れ痔に負けるくらい弱いってことですよ」
「まるで俺が肛門の裂傷に屈したかのような言い方やめろ」
「ゴブリンに勝てないんじゃ魔王討伐とか夢のまた夢ですよ」
「まだだ！ もっと弱い奴はいないのか！」
「それ強い奴を探すときに使う言葉ですよね？ あとはスライムなら持ってますけど」
「よっしゃ！ 今度こそ」
ーー3秒後
「タイムアタックかな？」
「もっとだ……！ もっと弱い奴をよこせ……！」
「血をよこせみたいに言うの辞めてもらえますか？」
ーー三時間後
「勝った……、勝ったぞ！」
「ミジンコにね」
「どうだ魔法使い！」
「そんなボウフラ並みの戦闘力でドヤられても」
「は！？ 家事が出来るだけ俺の方がボウフラより偉いわ！」
「この人本気でボウフラと張り合おうとしている」
「よーし、自信がついたからモンスター討伐にってこよう」
「田んぼでミジンコと戯れてくるんですか？ ……あのですね、貴方、自分の立場分かってますか？」
「立場？」
「貴方がそうやってフラフラしてるから、生活費は全部私が稼いでいるんですよ？」
「うっ！」
「オブラートに包んで言えば、今の貴方の状況はヒモクソニートですよ」
「包めよオブラートに！ ヒモクソニートって『天地人』みたいに並べるんじゃねえ！」
「諦めて大人しくしていてくださいよ。貴方はこのまま一生飼い殺す予定なんですから」
「嫌だ！ 俺は魔王討伐を諦めない！」
「で、ボウフラ並みの戦闘力でどうするんですか？ 今のままじゃ町の外に出た瞬間死にますよ」
「仲間集めるんだ。共に魔王を倒す仲間をな！」
ーーこうして剣士の仲間集めが始まった。果たしてボウフラの仲間になってくれる者は存在するのか！？
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