概要
勇猛に、荘厳に、そして絢爛に。
綺羅星に輝く戦舞台は、――地を這う弱者の嘆きに満ちていた。
嘆きはいつしか、呪いを生み、呪いは諸人を蝕み、やがて世界を穢す。
語られる者。騎士にあらぬ者。傭兵の長、名をジョンという。
恐るべき“怪物”を従え、数多の“兵”を束ね、“処刑人”への愛を誓う。
其は、身に刻まれた/呪いに/祝福に/罪に/かけて、絶対へと挑む。
穢れた手でも為すべきを。
残された、たった一つの責務を果たさんがため。
願わくば、この穢れた獣に、相応しい末路のあらんことを。
其の終わりを見届ける、少年少女の未踏の先を照らさんがために。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!さあ幕を上げろ。これより、暗がりを往く者たちの英雄譚が始まる。
なすすべの無い暴力から始まる物語です。
主人公が自他共に認める悪であり、彼の集めた仲間もくせ者ぞろい。
腐った世の中で、腐ったやつらを食い物にしながら今日も気ままに悪を働く。
……かと思いきや、それらは全てただ1人のために張り付けた、ぼろぼろのメッキでした。
彼女のために、あるいは世界の、彼のために、隠して張り付けて誤魔化した真実。
そんな一見すると、救いの無い復讐劇です。
そしてルビの多い心理描写や場面展開が、観劇を観ているかのような贅沢感を味わえます。
どうか報われてあれと、願わずにいられません。
暗がりからでも美しいものは生まれる。
そうでなくては。
さあ、この復讐劇の皮を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!丁寧で残酷。怖くて楽しい。読みやすさと読み応えの同居。贅沢すぎる
間違いなく名作。少なくとも私は大好きです。
でも私の語彙で表現するとどうしても安っぽくなるのが歯がゆいところです。
他の方のレビューやコメントでも散々言及されていますが、ダークファンタジーはこうであってほしいよな!というのを体現してくれています。
謎多く闇を感じるキャラクター、残酷でリアルな戦闘シーンと世界観、胸に突き刺さる人々の嘆きや苦しみ。
それでいて、読んでいてストレスは少ないです。なぜなら分かりやすくて面白いから。
もちろん、ファンタジーならではの非現実感や、ちょっとクスッとできる描写も忘れません。
贅沢セットすぎる。
敢えて言うなら、物語の進捗や展開が早いことを求めている人に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!猟奇的で狂気的な復讐の物語。
ダークファンタジーとは斯くあれ。それを体現したかのような情け容赦ない世界観に脱帽せざるを得ない。特にひとりのキャラクターの魅力について語りたいと思う。
世に跋扈する悪意や理不尽に抗うわけでもなく、受け入れた上で欺瞞の正義を振り翳す主人公と呼ぶべき青年ジョン。怪物を束ねる長たる彼の所業には吐気を催す邪悪さがありながらも、語る理屈は反駁の余地なく正しい。
人を選ぶかもしれないが、私はこのようなキャラクターは大がつくほど好物です。頭の捻子が外れた、常人には理解が及ばぬぶっとんだ思考の持ち主。それだけで魅力がある。まだ彼の全貌は明らかになっていないが、これから待ち受ける物語の先で彼がどのような結末を…続きを読む