極地の春

読書とコーヒーと悪友二人、ただそれだけだった高校生活。
だが、そこに異物が混ざる。

『魔導書』

出所不明、材質不明、著者不明。
ただ二つわかるのは、その本が、僕らにとって致死に迫る猛毒であることと人知を超えた魔術を授けてくれるということだ。

寂れたビルの地下、いつもの溜まり場で僕らは『魔導書』の解読を進めていた。
誰だってそうするだろ？代り映えしない日常の中で、『魔導書』なんてものを拾ってしまえば。
だが、僕達は気づいていなかったのだ。日常というものが薄い氷の上に乗る、酷く危ういものであるということに。

連続する放火、行方不明者の急増。
『魔導書』の解読と時を同じくして、僕らの街で異常なことが起きていた。

気付いた時には既に手遅れで、
事件の裏に潜むバケモノ達が、僕らの事を、じっと…続きを読む