ファンタジー小説世界に転生した原作者ですが、読者も転生してたので帰りたいし溺愛はご遠慮頂きたいです

　自分たちがある本の中の登場人物と成り代わった現代日本人であることと、その本の大ファン同士であることに気付いた悪役令嬢とヒロインは、原作の本を超えた『誰も悲しまないエンディング』を迎えるべく、手を取り合う。
　そんな姿を見た1人の乙女はある決意をした。

「この世界から可及的速やかに脱出しよう。──自分がこの本の作者だとバレる前に。2人に作者の前で萌え語りしていた恥を背負わせる前に」

　乙女は胸に決意を秘める。読者の夢と矜持のために。

　読者２人から重すぎる愛を向けられても、「ヒロインに一目惚れする悪役令嬢の許嫁」=王太子から求愛され酸っぱい顔になっても、やりぬくしかないのだから！