第4章 デート 第3節 賭けてみたいもの

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 「今はボランティアで

医療をしているけど、

楽しいんでしょ?」


 「そりゃ、楽しいよ。

自分のやりたいように、

やりたい方法で治療ができるからね。

とてもやりがいがあるよ。」


 「じゃあさ。」

 沙恵さえは、

言おうと思って用意していたことを、

思い切って口にした。



 「もしも、

十分な開業資金があれば、

”独立開業”してみたい

っていうのはある?」


 「えっ?独立開業?」


 二郎じろうが個人で、

病院や診療所を経営していくのはどうか、

と提案してみたのだ。


 「うーん…

でも、いくらかかるか、

わからないし…。」


 「私、大金持ちになったって、

言ったよね。」


 「ああ、

『世界との懸け橋』さんから

60億円振り込まれたんだよね。」


 「ビルを買ったとしても、

せいぜい2~3憶なんじゃないかな。

医療器材はリースで。

メンテナンスはその都度。

軌道に乗るまで、なんだしさ。」


 「沙恵ちゃん…。」

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