第5章 門出

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 およそ2年もの間、

このような交際を経て、

2024年12月25日、

2人はついに結婚することになった。


 結婚に際して、

2人はこのように対話した。


 「結婚式なんてくだらないよな。

第一、招待する人なんていないし。」


 沙恵さえは2年前に

会社を辞めて以来、

どこにも勤めていないし、

二郎じろう

『ひばりの家』のボランティアと

塾講師だけなので、

2人とも結婚式に誘えるような

交友関係がない。


 小中高と同じ学校に通ったが、

2人とも同窓会には

欠席するタイプであった。


 昔の学生時代の友達とは、

極力会わないようにしている。


 それについては、

いろいろと理由がある。


 2人とも

『過去は1秒後には全て幻となる』

ということを信じていた。


 生きているのは『現在』だけであって、

その延長線上には『未来』しかないのだ。

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