第2章 再会  第2節 楽しい食事

9


 「例えばだけど、

この機会に、

奨学金を一括で全て返すとするでしょ。

そしたら、そのお金はJASSO、

日本学生支援機構を運営している人たちの

給料などにもなっていくわけじゃない?」


 「うん。」



 「はいー、上カルビ、上ロース、カルビ、チョレギ、それぞれ2人前ー。」



 先程、

タブレットの説明をした若い男性ではなく、

厨房ちゅうぼうから

エプロンをした太ったおばちゃんが

大皿小皿を運んできた。


 しゃべりながら、

沙恵さえは上カルビをトングでつまんで、

熱いプレートに乗せた。

 二郎じろう

カルビを菜箸さいばしで熱いプレートに乗せた。



 「お金って

血液に例えられることがよくあるけど、

お金を返すっていうことは、

血流を良くすることと同じことだと思うの。

お金を貯めたままにしておくことや、

返済が遅れることっていうことは、

動静脈を圧迫して、

血流を阻害そがいしているのと同じことなのよ。

早く血流を良くして、

健康体に戻した方がいいと思わない?」


 「まあね。」


 菜箸で目の前のカルビをひっくり返しながら

二郎が答えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る