第3章 使い道
6
彼はどのような男性に成長したのか。
あらためて、
優秀な成績で、
大学に現役合格したのに、
医師免許も持っているのに、
自分の欲を満たそうとすることもなく、
他人にマウントを取るわけでもなく、
ただ心の
純粋な男性。
辞めた会社にいた人間たちが
比較対象となると、
二郎の『人間的価値』は
相対的にますます高まってくるのであった。
二郎の『人間的価値』に
値段をつけるとすればいくらなんだろう。
優しくて、頭が良くて、真面目で純粋。
こんな形容詞で、
二郎のことは
ある意味、
過去の人だったのに、
頭の中でどんどん大きくなっていく。
それは、なぜか。
彼という人間に、
強烈に『価値』を感じたからである。
過去の人から、現在を重ね、
未来の人になってゆく。
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