概要
零れるように切ない彼らの想いは、煌くかけがえのない時間を象徴し、緩やかに穏やかに過ぎてゆく。
誰かが誰かを大切に想い、誰かが誰かに傷ついて、誰かが誰かを愛おしむ。
何かを探し、何かを見つけ、何かを失くす。
どうしょうもない恋なんて存在しない。
誰かが不幸になる恋なんて認めない。
別れた恋は終りじゃない。
自分を責めるだけが愛じゃない。
世界の嘘っぱちから君を守りたい。
これはそんな素敵な5人の物語。
そして、僕の最高傑作2編を収録した短編集となります。
お楽しみ頂ければ幸いです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!恋愛小説家、福山典雅さんの才能ほとばしる短編集
短編集です。
主に大学生の恋愛がいろいろな角度から描かれています。
胸がきゅっとするような話の数々。
比喩表現がとても素敵で、
「大陸からの寒波はエクレアにかかったチョコレートみたいに列島を覆い尽くし」
とか
「例えるなら炭火焼きみたいな男で、心の奥に烈々たる熱を秘めながら、落ち着いた大人風に展観せしめている」
とか
もう、胸にずんって突き刺さります。
短編はどれもとてもいいのですが、
第5話 「たまにはこんな」、
そして、福山さんの代表作になっている、「アイトハ」がとても好きです。
「たまにはこんな」に描かれた、寂寥感とか
大人のさみしさを知りつつも、一方では子どもらしくあるところと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!個性豊かなイカした奴らが織りなす、とあるサークルでの物語+@
大学のサークル「いみじくもひとごこち」という場所に集った男子三人と女子二人。
各々が独自の人生観、恋愛観を持ち、交流しながらささやかな青春を謳歌していくお話。
短い中にも様々な人間ドラマがあり、人のココロを時にはさらけ出し、時には隠そうとする。そんな青くも大人びた大学生たちの日常がなんとも心に響きます。
そして、それらのキャラクターが各々違う個性を持っていて、その誰もが「自分」の視点から行動している、つまり全員が主役であり、舞台装置であるだけの脇役が存在しない素敵な世界。
そう、それは私達が生きる、この現実世界。
短い物語の中に、そんなリアルでかつ素敵なサークルを描いた爽やかなお話。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!もう戻らない、いつでも戻れる、時間たち。
作者さまのいくつかの短編をまとめた作品です。ただ、こうして改めてひとつの作品として読ませていただくと、またちがった感想がうかびます。
ひとつひとつの作品は、きらきらした、あるいはしずかな涙に溢れた、やさしいものがたりたちです。それぞれだけでも、もちろん、成立する。
でも、わたしたちはこの作品の時間のながれのなかで、作者さまのそばに座って、もう戻らない、あの懐かしい日を一緒にさがして、そうして読み終わったとき、いつのまにか、自分のなかにあった「その日」に、戻っているんじゃないかって。それが許されるおはなしなんじゃないかな、って。