黒沼の呪い

森の中のコテージ。

殺人鬼の魔の手に怯える集団の中に、バカンスで偶然居合わせた、探偵と警部の姿があった。


警部「君とプライベートで出かけると、ろくな事がないね?」


探偵「警部…です」


警部「はあ?」


いつものスーツ姿ではなく、休暇中のラフな服装をしている警部は聞き返す。


探偵「確かに…古今東西、探偵がいる所に事件は起きます。それは、事件がある所に探偵が呼び寄せられているのか、それとも探偵がいるから事件が起きてしまうのか…それは永遠の謎です。

とはいえ、僕のせいで事件が起きてるみたいに言われても困るので、やはり名探偵には、事件のある場所に引き寄せられる嗅覚というか、そういうセンサーが備わってると考える方がいいですね」


警部「しかし、事件が先にあり、探偵がそれに引き寄せられていると考えたとしても、そもそも探偵の生活圏内で事件が起きすぎてやしないか?ほら、コ〇ンくんとか金〇一少年なんかさあ…」


探偵「いや、そりゃ漫画でしょ?」


男A「くそっ!!!!」


そうして、探偵と警部が無駄話をしていると、一人の若者が叫んだ。


男B「俺たちの仲間が、次々殺されていく…」


男A「一体、何者の仕業なんだ!?」


今回、探偵たちと同じリゾートに参加した大学生のグループ。すると、その一員である女が突然、狂ったように笑い出した。


女C「キャハハハハハハハハ!!


これは呪いよ!!なんだわ!!!」


探偵「!?」


それを聞き、男Aが慌てたように声を上げる。


男A「おい!もう、黒沼の事は言うなって言っただろ!!」


警部「黒沼…?それは、一体誰です?」


警部が口を挟んだ。


男A「あ…あんたには、関係ねぇだろ!?」


警部「失礼、私は警察の者です。もしかしたら、今回の殺人劇に関係するかもしれないので、聞かせてもらいたい」


男B「け、けけ…警察!?」


男たちはそれを聞いて、動揺したようだ。かまわず、女Cはさらに叫ぶ。


女C「呪いよ!呪いなんだわ!!キャハハハハハハハ!!!」


すると、男Bもたまらず叫んだ。


男B「あれは、俺たちが悪いわけじゃねえ!!事故だったんだよ!!!」


探偵「事故?詳しく聞かせてもらえますか?ちなみに、僕は探偵です」


男B「たたた、探偵!??」


男A「馬鹿っ、狼狽えるんじゃねぇ!!とにかく…今回の事件とは関係ない事だ!!」


しかし、女Cの叫びは止まらない。


女C「キャハハハハハハハハハハ!!!!3年前、あなた達のせいで黒沼くんは!!」


探偵「3年前…!?」


男A「おい!お前、あの女を黙らせろ!!!」


たまらず、男Aが男Bにそう指図する。


男B「わ、わかった!!」


女C「キャハハハハハハハハハ!!!!!」


男Bは、狂い笑う女Cに向かって駆け出した。


警部「おい、君!手荒な真似は…!!」


警部の静止も聞かず、男Bは屈強な身体を揺らし女Cに近づき、人差し指を勢いよく自分の唇に当てて言った。


男B「しー!」


女C「………」


警部「あ、やさしい」


【終】

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