手の込んだ犯人の明かし方をする探偵

とある洋館の一室、事件の容疑者たちがテーブルの席についている。


探偵「皆様、ようこそ。

どうか楽にしてください。まずは、私が淹れたコーヒーをどうぞ」


そう言って探偵は、一人一人にカップを配っていく。


男A「おいおい、事件の犯人を明かすんじゃないのか!?」


男B「我々は、のんびりコーヒーを飲みに来たわけじゃないぞ!!」


探偵「ご安心ください。犯人は、


男B「何だと?」


女C「まあ、いいじゃない。いただきましょうよ」


男A「ふん」


探偵「砂糖は?」


男B「1つくれ」


女C「私は2つ」


男A「ブラックで」


その様子を見守っていた警部が、探偵に尋ねる。


警部「探偵くん、どういう事かね?呑気にコーヒーなど飲んでる場合じゃ…」


探偵「まあ警部、見ていてください」


そうして、容疑者たちは次々とカップに口をつけた。その時──


男A「ブッ…!?…ゲホッ…ゴホゴホッ…!!」


男B「!?」


女C「!?」


男Aが、口から液体を吹き出し、咳き込み出した。


警部「ど、どうしました!?」


男A「こ…これは………!?」


探偵「かかりましたね。


探偵は、男Aに鋭く言った。


男A「くっ…」


わけが分からない警部は、探偵に聞く。


警部「どういう事か説明してくれ、探偵くん!!」


探偵「簡単な事です。


私は最初から、男Aさんが犯人であると睨んでいました。なので、彼のカップにだけコーヒーではなく、黒酢を原液のまま入れておいたんです」


警部「えっ、ただの嫌がらせじゃん」


【終】

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