黒沼の亡霊

とある大企業の社長室。社長は怯えていた。


社長「専務に続いて副社長まで…次はいよいよ…私が殺される番…!?」


警部「安心してください社長。あなたは、我々がしっかり警護しますから」


連続殺人事件。次に、狙われる可能性が高い社長の身辺には警察、そして探偵がついていた。


社長「これは亡霊だ…」


探偵「亡霊…?」


社長「これは、!!!」


警部「黒沼…?それは一体、誰です!?」


社長「3年前、我々のした事のせいで…黒沼君は!!」


探偵「3年前!?」


警部「何があったんです!?」


社長「亡霊に殺される~~!!!!」


社長は恐怖のあまり、半狂乱となっている。


警部「落ち着いてください社長。その話、詳しく聞かせてください」


社長「我々が、黒沼君を死に追いやってしまったんだ…あれのせいで!!」


探偵「あれ?」


警部「あれって、何です?」


社長「亡霊があああああ!!!!」


警部「いや、だからぁ…」


探偵「亡霊なんて、いませんよ」


頭を抱えてうずくまる社長に、探偵が鋭く言った。


探偵「不可解な事件の裏には、必ずトリックがあり、それは生きた人間の手によって、行われているのです。


古今東西、報告されている様々な心霊現象も全て、プラズマで説明がつきます。人魂も、ラップ現象も、ポルターガイストも、全てはプラズマです。


もう、霊と言えばプラズマすぎて、プラズマクラスター空気清浄機で除霊ができるという説が、あるとかないとか」


社長「許してくれ~~~~~~!!!!!」


警部「探偵くん。この人、聞いてないよ」


らちが開かないので、警部は部下に水を持ってくるように指示をした。そして、床に額を擦りつけて喚いている社長を抱き起し、ソファに座らせる。


社長「まさか、あんな事になるなんて~~!!!!」


探偵「だから、どんな事です?」


社長「黒沼君の亡霊なんだあああ!!!!」


警部「はいはいはい」


部下が水を持ってくる。

警部は、それを社長に差し出して言った。


警部「さあ、この水を飲んで一旦落ち着いて…」


社長は、渡された水を一気に口に流し込む。


社長「ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…」


そうして警部は、社長が落ち着くのを待った。探偵も、その様子を黙って見守っている。


社長「プハー……」


黒沼とは一体、何者なのか?


3年前起こったという、あれとはどれなのか?


そこに、この事件を解く鍵がある。


社長「ハァ…ハァ…ハァ……」


探偵と警部が固唾を飲んで見守る中、やがて社長は息を整え、再び口を開いた。


社長「亡霊だあああああああ!!!!!!」


警部「だーめだこりゃ」


【終】

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