読者一人ひとりを物語の世界へ誘う文章や描写力が素晴らしく、自分自身が響たちと同じ高校生になったような気持ちで没入させていただきました。夏の季節感、高校生というときにしか味わえない青春の煌めきと切なさが胸の深いところを打ち続ける美しい物語です。
生と死という重みと深みのある内容でありながら、堅苦しい表現は一切なく、あまりにも自然に読者を物語へ惹き込みます。文章の表現と流れるようなリズムが本当に魅力的で、深海さまの登場人物や読者に対する深い想いを一文一文から強く感じました。だからこそこれからも、たくさんの読者さまに愛され続ける物語になると実感すると共に感動しています。
一人ひとり考え方や環境、事情も異なるため、登場人物たちへ抱く思いも読者一人ひとり異なると思います。作品に描かれている「救い」も本当に人それぞれの形があると思います。自分にとっての「正解」を強要したり、また誰かを非難するような言動をするのではなく、理解しようと耳を傾け続け、お互いに歩み寄る姿勢が大事なのかなと、本作品を通じて改めて学ぶことができました。本作品には私たちが生きていく上で大切なことが描かれていると思います。
爽やかな煌めきと正解の無い難しさは、生と死のように共存しながら存在しているものなのかもしれません。
本作品は、丁寧な文章でありながらとても読みやすく描かれており、静かに心に訴えかけ続ける物語です。ぜひこの深い響きと余韻がたくさんの読者さまの目に触れ、また救いになってくれることを心から願います。
深海かやさま、心に残る素晴らしい作品を書いてくださり本当にありがとうございました。本作品も心に抱きしめながら、いつまでも大切に味わいたいと思います。心からの感謝と尊敬を込めて……✨
物語も文章も、登場人物それぞれの思いも、どれを取ってもすべてが美しい。4人の高校生が織りなすひと夏の青春が、とても繊細なタッチで描かれています。
彼らの過ごす時間とその風景は、まるで水彩画のようなみずみずしさと、同時に脆く溶けてしまいそうな儚さを滲ませていて、それが全編を通してこちらの心にも沁み込んでくるようです。
命という大きな課題に対し、登場人物それぞれの思いを深く掘り下げ、ひとつの選択へと導かれるストーリー。その言葉の端々には命について考え抜かれた真摯な姿勢を感じます。
たったひと夏のあいだに彼らの経験する思いは、おそらく一生のあいだに味わう感情を凝縮したように濃く、切ないです。そのなかで一瞬のきらめきのように輝く時間がなによりも愛おしく、優しさに満ちています。
希望とは何か、救われるとはどういうことかを読者に投げかけてくる、繊細で情緒豊かな物語。どうか彼らと一緒にかけがえのないひと夏を過ごしてみてください。
深海さんが22年12月に掲載した作品ですが、本当に素晴らしい。
タイトル、ストーリー、描写、どれも一級品です。青春のせつない物語で、若い方にはぜひ読んで欲しいですし、年配の作家さん達も一度読まれることをお勧めします。特に描写が素晴らしい回が幾つもあり、目を見張ります。さらに最後の数話は本当に感動しますので最後まで読まれることをお勧めします。私は小坂流加さんの『余命10年』に匹敵する名作だと思います。
実に30人もの方が絶賛のレビューをしておりますので、まずはそちらだけでも眺めてみてください。一部を参照させていただきますと、下記の通りです。
「言語化できない感情の波に攫われていく本当に素晴らしい物語」
「情景が素晴らしくオススメです」
「夏の暑さと青春の爽やかさ」
「『書籍化』されてもおかしくない!感動間違いなしのヒューマンドラマ!!」
電車に飛び込もうとした少女を救ったそのときから、憂鬱だった響の人生は色づきはじめる。
どこか儚げな少女、海月。
まっすぐで鈍感な響。
底抜けに明るい親友の拓馬と静香。
四人が紡ぐ青春の一瞬一瞬は、きっと一生忘れられない。
初々しい高校生の恋と、「命」という重いテーマのアンバランスが作り出す、不安定に震える彼らの心情が魅力。
これだけ一緒に居るのにまだどこかわかり合えない。たくさん言葉を重ねても、まだ相手が見えない。気づいたときにはもう遅くて、焦って、でも全力で互いを信じ続ける。
不安定さと表裏一体の彼らの強さに圧倒されました。
作者の深海かやさんの魅力である美しくダイナミックで、ワンシーンを焼き付けるような情景描写が効いています。
とにかくきれいな作品。
最後には切ないような、満ち足りたような気持ちとともに、晴れ晴れとした瑠璃色が余韻として残ります。
一人の少女が電車に飛び込む。その腕を、掴む。少女は涙を浮かべてお礼を告げた。
彼女が知る由もない、ある言葉を口にして。
この、駅のホームで始まる少年の日常と少女の非日常の邂逅――を目にした時、私は思わずパタリとページを閉じました。「じっくりと読もう」
例えば店先で覗いたページをすぐさま閉じて、家に持ち帰るように。
そうして彼らと同じように、かけがえのない一夏の時間を味わうようにゆっくりと読み進めました。
プロローグから予感する儚さ。挿し込まれる日記に秘められた心中。
少年・響と二人の学友と、少女・海月。この四人が紡いだ一夏は、幸せで、だからこそ切ない、人生の瞬きでした。――決して忘れることのできない。
海月はその名と同じように「くらげになりたい」と口にします。それが一体何を意味するのか……冒頭に口にするある言葉と共に不可思議で、謎めいたその意味は、この物語のテーマとなって解き明かされていきます。
情景・心情の描写は上手だとか丁寧だとか技巧的なそれ以上に、とても美しい。情景と心情を一つに表す絵画を見るような、一つに言い表せない感情が浮かびます。
この少年少女達の一夏を、プロローグのその先を、ぜひ見届けて頂きたいです。
くらげのように、ふわふわとした読後感だと思いました。
絶望や、やるせなさもある。
それなのに、高校生4人の日々はきらきらと輝いて眩しい。それだけでなく、4人が常に美しい風景、色彩の中にいるのがとても印象的でした。それぐらい情景描写がとても素敵なのです。
基本的には響の視点で描かれていくのですが、途中で誰かの日記が挟み込まれ物語を読む手が止まらなくなります。読者を引き込む構成も素晴らしいです。
この取り止めのない感情、何かに似ているな……と考えていたらそれが「人生」なのだと気がついたのは随分後になってからでした。
この物語には人生の喜びも悲しみもドキドキも……全てが詰まっている。そんな気がします。
儚げな少女、海月の「私、くらげになりたいから」とはどういう意味なのか。そして彼女の抱える秘密とは?
是非あなたの目で淡く美しい景色と共に4人の青春、いや、人生を見届けてください。
冒頭を読めば、これから語られる物語が切ないものであることを想像できるでしょう。これは、くらげになりたいと願う少女と、彼女と友達になった少年少女たちの、切なくも瑞々しさが感じられる物語です。
情景描写が丁寧で、自身がその場で彼らと共にいるような感覚を味わえました。自然と光景が目に浮かぶのです。その世界が立てた音ひとつで、自分の中にある懐かしい頃に引き戻される感覚は、とても面白いものでした。
響が駅のホームで出逢う少女、海月。そんな彼女と友情を育んでいく響たち。
四人組の彼らが体験したかけがえのない時間を共有できたことは、とても感慨深いものでした。
彼らは純粋で、柔軟性があって、透明なキラキラしたものを持っている気がして、眩しい。特に恋をしている子って、切なくて可愛くて堪りませんね。
少女が選んだ選択、彼女を思う少年たちが抱く想い。
ひと夏の中で最大限に輝いた彼らの軌跡は、きっと私たちが前を向く道標の一つとなるでしょう。
目標もなく、ただ日々を過ごしている響とミステリアスな少女との出会い。
4人で育んでいく友情と恋心。悲しい出来事。少女の不思議な力。
たった、ひと夏の出来事なのです。
しかし、なんて濃くて大切な日々だったのだろうと思います。
物語は、読みやすくも美しい文章で綴られています。
4人が過ごすおばあさんの家や海や空の光景が鮮やかに脳内へと広がり、物語を彩っていきます。
読み進めていくうちに、様々な感情と出会うことになります。彼等と一緒に悩んでしまうこともあります。
それでも最後には、もう一度最初から読み返したくなってしまう。
落ち着いた空間で、ゆっくりと味わってほしい。そんな物語です。
将来の夢というものを見つけられず、日々を憂鬱に過ごしていた高校生の響は、駅のホームで電車に飛び込もうとしていた少女を思わず助けた。
初対面のはずの彼女はなぜか響を見て涙をこぼし、不思議な言葉を呟いて、微笑んだのだった――。
出会いのワンシーンがとても丁寧に美しく描かれていて、運命的な始まりを予感させます。物語の軸になるのは主人公の響と、重い秘密を抱えて生きる海月、響の友人である拓馬と静香。高校生らしくきらきら輝く四人の夏休みに、美しくも切ない叙情をのせて、物語は描かれてゆきます。
淡い水彩画、あるいはパステル調に描かれたアニメーション映画、そんな印象を受ける繊細な描写が随所に散りばめられており、スルスルと読み進めてしまう魅力ある作品です。
物語を通して描かれる『救い』のありかたと、それを象徴づける『くらげ』。
彼女らの選んだ道は賛否両論あるかもしれませんが、若い感性の願う救いとして理解できるようにも思うのです。ラストの手記によって、また少年少女が経た日々によって、救いのかたちが人それぞれであると痛感させられるからかもしれません。
思いきって手を差し伸べることにより、色づく未来もあるのかもしれないと、私はそんなことを思いました。
完結作品ですので、ぜひご一読ください。
眩しくなるほど甘酸っぱい青春小説です。
海月という重い荷を背負う女の子に、彼女を取り巻く魅力的な登場人物たちと、その眩しくなるほどの人間関係。
表現される心理描写は独特かつ繊細で、瞬く間に物語の中へと引き込まれてしまいました。
そして場面ごとに描かれる風景描写はどれも丁寧で、至る所で青春を想起させられます。
おばあちゃんの家や岬など、脳に刻まれるほど印象的です(笑)
くらげの生態説明から始まるプロローグ、物語は、散らかることなく綺麗にまとめられ、どうにも考えさせられる結末へと至り……。
万人が納得できる終わりではないと思うが、だからこそいつまでも余韻が残り続けます。
ぜひともおすすめしたい、素敵な小説です。