概要
虐げられた少女は龍の番となる。
斎帝国の皇女でありながら夷狗は孤独だった。それは夷狗の髪が燃えるように赤く、瞳は灰色――斎人には決して現れぬ色合いだったからだ。
産みの母には疎んじられ、血を分けたはずの姉兄からは嘲笑われる日々を過ごしていたある日、常世を統べる龍帝の訃報が届いた。
龍帝の代替わりの際は花嫁という名の供物を送ることになっている。
「花嫁には狗を送る」
母である女帝は他の姉兄を供物に差し出すことはできない、と夷狗を花嫁に選ぶ。生まれて初めて母に微笑みかけられ、母は自分を愛することは永遠にないのだと夷狗は理解した。
龍帝からの迎えが来るまでの間、夷狗の心は次第に輿入れが待ち遠しくなる。誰にも必要とされない自分が龍帝の糧となれる。それはとても幸福なことなのだ、と。
「私は君を食べるつもりはない」
龍帝は夷狗
産みの母には疎んじられ、血を分けたはずの姉兄からは嘲笑われる日々を過ごしていたある日、常世を統べる龍帝の訃報が届いた。
龍帝の代替わりの際は花嫁という名の供物を送ることになっている。
「花嫁には狗を送る」
母である女帝は他の姉兄を供物に差し出すことはできない、と夷狗を花嫁に選ぶ。生まれて初めて母に微笑みかけられ、母は自分を愛することは永遠にないのだと夷狗は理解した。
龍帝からの迎えが来るまでの間、夷狗の心は次第に輿入れが待ち遠しくなる。誰にも必要とされない自分が龍帝の糧となれる。それはとても幸福なことなのだ、と。
「私は君を食べるつもりはない」
龍帝は夷狗
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