異国情緒溢れる物語が好きで、同じような嗜好の方に、ぜひお勧めしたいです。
広がる草原と水をめぐる大活劇に加え、丁寧に描かれる心の揺らぎが絶妙なバランスで、深みのある世界観に引き込まれます。
見かけは物静かだけど、実は奔放なタリヤと、彼女をやんわり諌めながらも、まだ青さの残るカザク。
彼らの一挙手一投足に、わくわく、そわそわ、もだもだする楽しさたるや!
早くくっつけ〜! と思いつつ、苦悩しながら手を取り合う二人をもっと眺めていたくなります。
個人的に一番好きなのは36話です。ただただ、かわいい……あまりのことにそれしか言えません。
魔導師の二人以外にも、館の人々や軍に王宮まで。魅力的な登場人物が多いのも、この作品の面白さの一翼を担っています。好きな人物を挙げるとキリがありません。
とりあえず応援したいのが、タリヤとカザクを除いたとしてもあと三組。幸せになって、と声をかけて回りたい。
錯綜する思惑に翻弄されながらも、力強く生きようとする姿が愛おしいです。
白と黒、拡散と収縮、男と女。魔術師であるカザクとタリヤは運命のように対となり、助け合って暮らしてきました。
幼少期から共に過ごし、何にも代え難い絆で結ばれた二人はやがて成長し、陰謀に翻弄されつつも、絆を深めていくのですが……。
舞台は異国情緒あふれるオアシス都市です。世界観の構築が見事であるだけではなく、主人公以外の人物にもきちんと過去があり個性があるのも魅力的。
13万字強の作品ですが、テンポの良い展開と濃密な設定のおかげで、大長編を読んだかのような満足感を覚えました!
また、忘れてはいけないのが、本作は恋愛ジャンルに設定されているということです。
カザクとタリヤのじれじれな関係性に始終ニヤニヤできることでしょう。そして、もっと大人な年齢の二人と、初々しい子供たちの恋愛(?)模様も必見です。
オアシス、草原、魔術師、恋愛、陰謀、戦い……盛りだくさんな魅力にあふれる作品がここにあります。
お勧めです!
舞台は草原。水の枯渇が心配される沙漠地帯に相当する土地で、定住民と遊牧民がそれぞれの暮らしを営んでいます。
主人公のタリヤとカザクは、魔導士の力を持って生まれたことで、幼少期から過酷な体験を強いられ、都市のために生きるべく道筋をつけられてしまいます。
この二人、タリヤは無邪気で可愛らしく、カザクは頭脳派でカッコイイ。
タリヤと共に生きるため、国難すら利用して政治権力に抗おうとするカザクの行動と、そんな彼に女性としての気持ちを徐々に目覚めさせられていくタリヤの成長が、骨太な世界観の中で鮮やかに描かれます。
主人公以外の登場人物たちにも、とても丁寧にスポットが当てられ、その生き様や思いが細やかに優しく描き出されるので、群像劇が好きな方にもおすすめです。
恋の甘酸っぱさと、悠久の歴史に思いを馳せる大きな視点と、双方を楽しめる懐の深い異世界ファンタジーです。
ファンタジーで世界観が確立している作品はとてものめり込めるため、とても充実感を得られます!
草原とオアシスという和やかなイメージから、争いへと展開されていく怒涛の物語なのですが、描写のメリハリがとても明確で爽やかと血生臭さが綺麗に同居しています
必要以上にお堅い表現を用いず言葉遣いや心情で魅せるため、一体感を感じながら物語没頭することができます。
1話単位も読み手に考慮したボリュームであるにも関わらず毎話の引きがとても見事に機能しており、上記の一体感と合わせて作者様の筆力の高さが伺えました!
また、恋愛も絡めてくる欲張り設定なので、みなさんも物語の扉を開きこの激動の中で育まれていく登場人物たちの関係を追体験してみてはいかがでしょうか!
都を守る魔導師である「黒銀のタリヤ」と「白金のカザク」は、ふたり、兄妹のように育った。
都の泉に異変が起こったことで、変わり始める二人の関係。
恋愛に疎い二人の魔導師が、ゆっくりと心を添わせていく物語。
作者さまが得意なアジアンファンタジーが舞台。草原のオアシスに異変が起こり、乾いた草原で生き延びるため、人々は新たな水脈を探す。
そんな中で繰り広げられる陰謀や対立、争いの火が、やがて平穏だった日々に翳りを落とし始める。
ふたりの気持ちが揺れ動く描写や、周りの風景が目に浮かぶような今作は、草原の真ん中に立って、その物語の中に入り込まずにはいられません。
登場人物たちも魅力的。
文章の表現力も素晴らしいです!
作者さまの素敵な世界観に、一度浸ってみてはいかがでしょうか?
オススメの作品です♪
この物語を読んでいるときはいつも、草原を揺らす風を感じる。
その風の中に、揺れ動くタリヤとカザクの心があり、毎回胸を騒がせる。
幼い頃から一緒にいた二人。二人の願いは「これからもずっと一緒にいること」。同じ願いなのだが、カザクはタリヤよりも一歩先を歩いており、そこに男女の愛を求める。だがタリヤはまだ幼い。あと少し大人になれば受け入れられる筈の心の変化に翻弄されてしまうのだ。そんな二人のやり取りに、読者はヤキモキしつつも温かな眼差しを向けてしまうのだ。
二人がお互いの心だけに気持ちを向けていれば良いわけでは無い。彼らの暮らしを支える泉は枯れ、それが足元にある「平和」を揺さぶろうとしている。様々な思惑が渦巻く中で、彼らの運命も翻弄されるのだろうか。二人はどこへ向かって行くのだろう。物語は今、佳境を迎えている。
ここまで心を動かされるのは、心理描写と情景描写が丁寧だからだろう。美しい言葉で表現された舞台の中で、移ろう心情が繊細に描かれている。
このみずみずしいファンタジーの世界を、あなたも覗いてみませんか?
美しい容姿のカザクとタリヤ。
兄妹のように育った魔導士の二人が広場で大道芸人みたいに魔法を人々に披露しているところから物語が始まります。
「日干しレンガで作られた四角い建物の並ぶ街」や「空色のタイルが敷かれた上に唐草模様の毛織物」「花の模様が彫り込まれた柱」など作中の情景描写がとても丁寧で、読者の目にも物語の景色が浮かびます。
登場人物の心情もしっかりと描かれており、ちょっとわがままで明るく自由な性格のタリアと、冷静で責任感ある性格のカザクという、主役の二人のキャラクターに違いが作られていて、この絶妙な組み合わせが物語を一層魅力的なものへと昇華しています。
凸凹コンビの二人の恋の行く末は?
また都の泉に起こった異変、「水」を巡る陰謀とは?
優れたファンタジーをお探しの方に、この作品をぜひオススメします。
主人公のタリヤちゃんは、人々の尊崇を集める美しき魔導師。けれど本当の姿は、嬉しいときには踊り歌い、嫌なときには「嫌ぁよ」の天真爛漫な女の子。でも明るいだけではありません。
彼女と対をなすもう一人の魔導師はカザクくん。幼いころから兄妹同然に育った二人ですが……人は大人になり、いつまでも変わらぬままではいられないのです。
遊牧民が、同じ場所にはとどまれないように。
少年少女には重すぎる強大な魔力、国の魔導師という立場、権力者の思惑……その狭間で、彼らは何を選び、何を守るのか。
重厚なストーリー性を持ちながらも、重くなり過ぎない文章と場面展開が秀逸で、そしてタリヤちゃんの魅力や小間使いのシルちゃんとのイチャイチャタイムに癒されながら(お相手はカザクくんじゃないのかって? それはまあ……お楽しみに)、とても読みやすい内容です。
ぽんこつとむっつり(?)のじれったい恋愛を主軸としながらも、二人を取り巻く複雑な要因がこの先どう絡み合ってくるのかも気になる多層的な物語です。
王宮の陰謀が絡む恋愛ファンタジー!
心理描写が上手く、読者に気持ちが伝わり過ぎる!
幼い頃から兄妹のように育ったカザクとタリヤのお話です。
二人は強い力を持つ魔術師で王宮が手放したくない存在です。
カザクはタリヤのことを意識しているが、タリヤはポンコツで恋心があんまり分からない。
でも、カザクとは一緒にいたいのです。
王宮の陰謀が絡む恋愛ファンタジーです!
読んでいて何度もやきもきさせられました。
主人公たちだけではなく、その従者たちの関係もまた尊いです!
拝みたくなってしまいます!
全員幸せになって欲しいですね。
とてもオススメです。
是非お読みください!!
この物語を最初に読んだ感想は、こんな「魅力的な主人公」書きたいなでした。ちょっと私が書く女主人公とは「ケタ」が違います。特に「心のうつろい」を表現するのが抜群にうまい。そうなんですよ、魅力的な「ヒロイン」は心情描写が魅力的なんですよ。それが「王道」なんですよね。それを本当に思い出させてくれる一作でした。
物語としては、私の大好きな「中央アジア」。オアシスの水資源をめぐる話に、魔術と騎馬文化が絡んでくる。ほんと魅力的な設定です。十把一絡げの西洋ファンタジーとは一味も二味も違う設定に、主人公の魅力的なキャラクター。うーん、なんでしょうね、この圧倒的な魅力。思わずため息です。
なぜなら、私も同じ中央アジアで「心情描写」メインのお話書いてたんですよ。マイナーなんですけどね。で、先日、私がこのお話を読んだ時、自分の作品のあまりにもの稚拙さ、特に「心情描写」の稚拙さを思い知って、寝込んでしまったほどです。実話ですw
ということで、私が寝込むほどの傑作、是非、皆さんも読んでくださいね!
作者様がこの作品をどこにカテゴライズしているのか、私は知りません。先入観なしに読んで思ったのは、「文学」である、ということ。
広大な草原の美しさ。枯れ行く水を守ろうとするために動き回る登場人物。その設定だけでも心掻き立てられる。彼らの行動から見て取れるゆっくりとした感情の動き。たしかにもどかしい。けれど、それが本来の人間の心だと私は思う。他人に対する「愛」や「感情」は生まれた時から備わっているものではない。それを見せられ、感じとり、自分で学んでいく主人公たちの心を観察し、分析し、適切な言葉で表現していく作者様の筆力。ところどころにちりばめられた真理をつく言葉に、ページをめくる手が止まるほど。
この先、タイトル通り、魔導士同士の恋愛感情を突き詰めていくのか、それとも、恋愛に乗せた、「水」を守るための人々の葛藤を主軸にしていくのか。
どちらに進んでいくとしても、この作者様なら表面上の登場人物の動きに惑わされることなく、その下にある思い、心理、などをいかんなく表現してくれることと思います。
文学にしては軽めの文章ながら、描いている内容や言葉は心を突いてきます。
続きが楽しみな小説のうちの一つです。