白と黒、光と影が織りなす色鮮やかな世界

主人公のタリヤちゃんは、人々の尊崇を集める美しき魔導師。けれど本当の姿は、嬉しいときには踊り歌い、嫌なときには「嫌ぁよ」の天真爛漫な女の子。でも明るいだけではありません。
彼女と対をなすもう一人の魔導師はカザクくん。幼いころから兄妹同然に育った二人ですが……人は大人になり、いつまでも変わらぬままではいられないのです。
遊牧民が、同じ場所にはとどまれないように。

少年少女には重すぎる強大な魔力、国の魔導師という立場、権力者の思惑……その狭間で、彼らは何を選び、何を守るのか。
重厚なストーリー性を持ちながらも、重くなり過ぎない文章と場面展開が秀逸で、そしてタリヤちゃんの魅力や小間使いのシルちゃんとのイチャイチャタイムに癒されながら(お相手はカザクくんじゃないのかって? それはまあ……お楽しみに)、とても読みやすい内容です。
ぽんこつとむっつり(?)のじれったい恋愛を主軸としながらも、二人を取り巻く複雑な要因がこの先どう絡み合ってくるのかも気になる多層的な物語です。

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