「ふつう」と比べると色覚の多い・少ない二人が主人公の本作品。
色覚や写真が題材なこと、デイドリーマーを巡る世界観など、惹きこまれる要素がぎゅっと詰まっています。
描写も世界観を際立たせていてまた素敵……。
はっきりとした事件が主人公のアーティに降りかかるまでも、垣間見える不穏さや、何よりキャラの立ったアーティとマコトのユーモラスなやりとりが楽しく飽きさせません。
元気で可愛らしいアーティと、芸術肌ゆえか、イケメンでクールそうに見えてなかなか変わり者のマコトとのやりとりは本当にニヤニヤします。
アーティは本当に物語を引っ張る力もあるなぁと微笑ましく思いました。
物語が動き出してから次々と飛び出る謎、アクション、そしてやっぱり欠かせないクスリとさせるコメディなど。
次から次へとページをめくらせる展開が目白押しです。
まだ生態知らぬ不可視の生き物デイドリーマーズ。
ヨーロッパを舞台に、この見えぬ生き物を撮っていくマコトとついていくアーティ。そして、食欲旺盛な猫のタマキ。
世界観は色彩豊かだけでなく、問題と謎、キャラも豊か。
このデイドリーマーズを見える人間は数少なく、マコトは見える人間ですが……彼の抱える謎も多いです。
デイドリーマーズという存在は人間にとって敵なのか、味方なのか。この世界にとって一体何なのか。読み進めていけば多くが写真のようにアルバムへと収められていくでしょう。
人間ドラマやマコトの過去。多くの想いや別れと出会い。陳腐なことをしか書けないので申し訳ないです。でも、本当に一枚一枚切り取ってもいいぐらいに話が美しく鬱くしいのです。もう色彩豊かなフォトアルバムの如く一ページずつめくるのが楽しくなります。
暗い世界観の中で行われるストーリー。興味惹かれるものが多く完結済。
出版社さん! ここに有望な作品ありますよ!!!
皆さん読んでみてはいかがでしょうか?
面白いですね。デイドリーマーズがどういう存在なのかが気になります。まあ、2章でその一端が語られましたが、もっと先があるはずです。
1章が勢いのままで終わったので、勢いのままに2章も読了しました。コメディ調で進んでいるから読めるけど、結構怖い話ですね。見えない怪物とか普通に怖いです。
それに2章を読んで怪物の定義にも色々とありそうです。人間に色々な人はいるみたいにデイドリーマーズにも色々な方々がいそうです。
それに私の推測ですが、この物語は現代の風刺になっている部分もある気がします。色々と考察がはかどるような物語づくり何でしょう。物語を読むごとに、目に見えている景色を、自分がどう切り取ってみているのかを考えてしまいます。
是非とも、ご一読ください!!
物語は近未来のパリから始まる。
超色覚を持つ少女アーティはSNSを通して仕事をするフリーカメラマンのマコトに師事している。
アーティはマイペースなマコトに惹かれていた。
マコトの部屋からの帰り道、物語は急展開を迎える。
マコトに家まで送ってもらっていると、アーティは不可解な老婆を目撃する。
直ぐに人間じゃないと分かって悲鳴を上げると、マコトがその老婆を殴り飛ばした。
そして、突然現れた男がマコトに銃を向ける。
アーティに全くこの状況が理解できなかった。
最初はほのぼのとした物語の流れです。
アーティが可愛いとしか思っていませんでした。
近未来や日本が大変、パリも物騒と嫌な単語が文章に現れ始め、少しずつ不穏な雰囲気を感じ始めました。
すると、7話で急展開。
もう驚きましたね。
この物語の魅力的なポイントはアーティの存在だと私は思います。
アーティは心の中でマコトへの想いを叫び続けています。
もちろん行動にも移していますが、マコトが気づいてくれない。
ラブコメの要素がシリアスな物語に上手く調和して、この物語の魅力となっています。
文章も読みやすく、気がつくと全部読んでしまいそうになります。
続きは気になりますが、最後まで読まずに十話残しました。
どうしてか、読むのが勿体無いからです。
三章が始まってから、二章を読むのを再開したいと思います。
読むのが勿体無いと思ってしまうくらいのオススメです。
是非読んでみてください!
舞台は近未来のパリ。常人よりも多くの色が見えてしまう現象『テトラクラマシー』を持つ少女アーティは、逆に色弱である日本人写真家、マコトの元で料理人として働いている。美麗なマコトに想いを寄せるアーティは彼の一挙手一投足に心ときめき、時に舞い上がり、時に悶絶しながら幸福な日々を送っていく。
だが、一部の人間にしか見えない謎の生命体『デイドリーマーズ』の出現によって物語の様相は一変する。デイドリーマーズは人肉を食らう生物で、マコトとアーティは彼らが子どもを捕食する現場に遭遇してしまう。その描写は非常にグロテスクだが、そこを乗り越えれば新たな展開が待っている。デイドリーマーズを前にしても狼狽えないマコト。突如として彼の前に現れ、彼の命を狙う男ユリウス。そして異国の地トーキョーで咲いた謎の花。散りばめられた要素はまだまだ広がりを見せそうで、これからの展開に期待できます。コメディとSFを同時に楽しめる一作です。
物語はSF映画を思わせるプロローグから始まり、そこから色鮮やかで華やかな日常生活が描かれていきます。
アーティことアネットは超色覚を持った若きフォトグラファーの卵で、そんな彼女が師事しているのは美麗な日本人カメラマンのマコト。
二人の日常はほんわかとして優しい雰囲気ですが、ある日二人は一般人には見る事の出来ない不可視な存在を目撃し、そこから事件に巻き込まれていきます。
アーティやマコト先生のかけあいは微笑ましくて和みますし、色鮮やかできらきらした文章に、まるで旅をしているかのような描写はとても素晴らしいです!
是非読んで欲しい素敵なお話です!
既に第一章完結の時点で堅実な評価をものにしている本作だが、第二章に入り、その面白さは更に拍車をかけていると感じる。
怪異譚……怪異退治ものというと、「現代日本に暮らす男子高校生が謎めく美少女と出会い非日常へと踏み込んでいく」、あるいは「その筋に精通しながらも慇懃無礼な美形の助手になる」……といった骨子が多いと(誠に勝手ながら)思っている。無論、そういった王道の味わいも捨てがたいが、本作は先人の骨子を本歌取りしながらも独自色で肉付けしており、フランスはパリから始まる物語なのもその意欲を物語っているだろう。
加えて怪異につきものな「視える/視えない」を、「色覚」を介して落とし込んでいるのも、実に洒脱だ。
日本初上陸した海外の名店のような、「新たな切り口から怪異譚を楽しみたい!」という方に是非ともオススメしたい傑作である。
SNSに投稿された一枚の画像を通して、世界観を考察させてくるプロローグ。世界観の説明ではなく、SNSという媒体を使うことによって我々読者も作中にいるかのように世界観を考察するため、一気に引きずり込まれます。
カクヨム上では、白の背景と黒の文字の二色しかないはずなのに、色鮮やかな水没した東京が見えます。ドローンの空撮のように滑らかに描き出されていくかつての大都市の情景。そして、不気味なはずの巨大な蓮の花と雌蕊の上の多頭多腕の巨像。私は白と黒で描かれた、色味豊かな東京と不気味な蓮の花のミスマッチを幻想的で美しいと思いました。
本編は、見ている世界の色が足りない主人公と常人よりも色の認識が優れすぎている超色覚の少女のバディ物で描かれています。
序盤はゆっくり丁寧にこれでもかと二人がどんな人間かを掘り下げていきます。この掘り下げが起承転結の[転]で効いてくる。読んでいると初めは掘り下げが丁寧すぎるかなと思うかもしれない。しかし、一章を読み終えた時、全て納得できるはず。
私は納得した。これは必要な掘り下げだったと。
ここまで書いてふと思うのは、三人称でかかれているのは、我々読者の色覚がマコトとアーティの中間に位置しているからではないかと。
凄く面白かったから、みんなも読んで!
この物語の舞台はフランスですが、まるでセーヌ川のように緩やかに、しかし絶え間なく流れ続ける水のような作品だと私は感じました…補足します、すみません…
緩やか、というのは作品全体の雰囲気で、主要人物のマコトと彼のアシスタント、アーティが織りなす日常、その和やかな空気感がとても心地良いです。
絶え間なく、というのは、この作品は哲学的な色合いを帯びていて「みる」とは何か?他者の見ているものは果たして自分にも「同じように」見えているのか、というテーマを「色」という概念を通じて考察されています(私はそのように思いました。)
私はまだ途中までしか読めていませんが、これほどテーマが豊富かつ統一感のある作品、その土台として「サイバーパンク」があるとのこと…これから更なる物語の「色」が見えてくるのだと思うと、非常に楽しみです!
「色」「見ること」「写真」「撮る」これらの言葉に反応された方、是非読んでみてほしい一作です!