パリを舞台としたSFコメディ。

 舞台は近未来のパリ。常人よりも多くの色が見えてしまう現象『テトラクラマシー』を持つ少女アーティは、逆に色弱である日本人写真家、マコトの元で料理人として働いている。美麗なマコトに想いを寄せるアーティは彼の一挙手一投足に心ときめき、時に舞い上がり、時に悶絶しながら幸福な日々を送っていく。
 だが、一部の人間にしか見えない謎の生命体『デイドリーマーズ』の出現によって物語の様相は一変する。デイドリーマーズは人肉を食らう生物で、マコトとアーティは彼らが子どもを捕食する現場に遭遇してしまう。その描写は非常にグロテスクだが、そこを乗り越えれば新たな展開が待っている。デイドリーマーズを前にしても狼狽えないマコト。突如として彼の前に現れ、彼の命を狙う男ユリウス。そして異国の地トーキョーで咲いた謎の花。散りばめられた要素はまだまだ広がりを見せそうで、これからの展開に期待できます。コメディとSFを同時に楽しめる一作です。

その他のおすすめレビュー

瑞樹(小原瑞樹)さんの他のおすすめレビュー191