可視と不可視の境界線が崩れたとき、視える世界

崩壊したトーキョーに巣食う人外生命体。目には見えないそれが、カメラのレンズを通して世界を震撼させる。まずもって退廃的な冒頭から関心をそそられる本作。

西暦2045年という設定にもあるように、極端に時代が進んだわけではない近未来のお話ですね。科学技術はたしかに進歩しているのですが、人々の暮らしが今とかけ離れていることもなく、安心して物語を読みすすめられます。

パリの街並みの描写は目を見張るもので、日本を一歩も出たことがない私でも、その華やかな情景が思い浮かぶようでした。

物語の鍵を握るマコトとアーティ。このふたりの関係性が絶妙で、インドアなマコトに猛烈アタックをくり返すアーティですが、普通の人とは見える色の数が違ったり、舌がバカだったりと、一見正反対に見えるのにどこか似てもいる、不思議なふたりです。

はたから見ているとコントでもしているかのような軽妙なやりとりに、読者としてもたびたびにっこり。ちぐはぐなようで噛み合っている、いい意味でデコボココンビです。

両名ならびにふらっと登場するさすらいの猫様による食への執念がすさまじいです。すべては5話を見ればわかります。そして「そっちかよ!」とツッコまずにはいられないでしょう。

タイトルにもあるデイドリーマーズが登場してからは、コミカルなマコトやアーティのやり取りから一変、命懸けの殺伐としたアクション&ファンタジーシーンにシフトします。人間を食べるデイドリーマーズ……さながら戦慄の飯テロ(物理)ですか。ひぇ……こわぁ……(語彙力) さらにウォッチャーなる謎の男女コンビも登場し、息をつく暇もありません。

人を食う目には見えない彼らのことを知っているマコトと、共に追っ手から逃れたアーティがたどり着いた水没都市。気になるところで第一章が終わっていますね。今後の展開も必見です……!

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