傑作怪異譚のニューカマー

 既に第一章完結の時点で堅実な評価をものにしている本作だが、第二章に入り、その面白さは更に拍車をかけていると感じる。

 怪異譚……怪異退治ものというと、「現代日本に暮らす男子高校生が謎めく美少女と出会い非日常へと踏み込んでいく」、あるいは「その筋に精通しながらも慇懃無礼な美形の助手になる」……といった骨子が多いと(誠に勝手ながら)思っている。無論、そういった王道の味わいも捨てがたいが、本作は先人の骨子を本歌取りしながらも独自色で肉付けしており、フランスはパリから始まる物語なのもその意欲を物語っているだろう。
 加えて怪異につきものな「視える/視えない」を、「色覚」を介して落とし込んでいるのも、実に洒脱だ。

 日本初上陸した海外の名店のような、「新たな切り口から怪異譚を楽しみたい!」という方に是非ともオススメしたい傑作である。

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