第7話 義妹にはわがまま言ってもらいたい

学校で裕也と晴音を会わせないようにし始めてから初めての休日がやってきた。

その間なんとか2人を会わせないで済んだがおそらく時間の問題だろう。

「はぁ…どうすっかな〜」

正直な話、別に2人が会ったからといって晴音があいつの言うことを聞くとは思えないし、そんなに困ったことにはならないのではないかとも思っている。

しかし、裕也が晴音に対して暴力を振るったりしないとも限らない。

「結局、何が正解なんだろうな…」

この調子でどうすればいいのか考えていると

「蒼くん。ちょっといい〜?」

と澪さんに呼ばれた。

階段を降りてリビングに入ると、晴音と澪さんが楽しそうに喋っていた。

「澪さん。どうしたんですか?」

「蒼くん。あのね、お買い物をお願いしたくて」

「なんだ、そんなことですか。もちろん大丈夫ですよ。何を買ってくればいいですか?」

「メモに書いておいたからお願い。あとお金もね」

「了解です。そういえば今晴音と何を話してたんですか?」

「ちょっと昔のことをね。…あっそうだ蒼くん。晴音のことも連れて行ってあげてくれないかしら」

「俺はいいですけど、晴音はどうする?」

「わ、わたしも行く!」

「おっけー。じゃあ準備してくるから待っててくれ」

「うん」


出かける準備が終わった俺は晴音と一緒に近くにあるショッピングモールに向かっていた。

「そういえば、晴音は欲しいものとかあるか?」

「えっ…」

「ん?どうした?」

「いや…なんでもないよ」

「…そうか。ならいいけど」

…絶対に何かある。というかなんとなくわかる。

いや、わかってしまった。

(たぶん、欲しいものが買ってもらえる状況じゃなかったんだろうな。澪さんはすごく優しいし、晴音が着いてきた人だ。おそらく父親の方が問題だったんだろう)

それを知っても俺は何も出来ない。

今の俺にできるのは

「それで、欲しいものはあるか?なんでもって訳には行かないけど、まあ引越し祝いみたいな感じだと思ってくれ。だから遠慮はなしでな」

「えっと、あの、えーっと、じゃ、じゃあ、毛糸!」

「…………?毛糸?」

「うん!」

「……わかった。後で選ぼうか」

そう言うと晴音はルンルンと早歩きで歩き始めた。

「…なんで毛糸?」

まあ欲しいと言われたらにはもちろん買うが

(遠慮は…してなさそうだよな)

「ふふっ」

「まあいいか」

幸せそうな晴音の顔を見たら、正直どうでもいいと思ってしまった。

「澪さんも家で待ってるし、早くショッピングモール行こうか」

「うん!」

俺と晴音は少し駆け足でショッピングモールに向かった。

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