第15話 さ〜て。我が義妹を守るのだ!

「よし!あいつと別れるための作戦会議をするぞ」

「はい!」

晴音が裕也と無理やり付き合わされたと言うことを知った今日。

俺たちはひとまずふたりが別れるためにいくつかの考えを出すことにした。

……までは良かったんだけどなぁ〜。

「……なんも思いつかねえ」

正直な話、作戦会議をしよう!って話をした時から薄々感じてはいたのだが……俺も晴音も付き合ったことがないため、どんなことをすると恋人は別れるのかとか、何がきっかけなのかとかを知らない。

よって出てくるものはネットで付けた知識だったり、調べて出てきたものだけである。

「えっと…その…」

ん?

「どうした晴音?」

久しぶりにこの挙動不審みたいな感じの晴音見た気がする。

俺に対してはしなくなってきていたのにどうしたのだろうか。

「その……私の場合、相手に脅されているから……ネットで調べても意味ないんじゃないかと…」

……うん。

めちゃくちゃド正論だ。

というかなぜ気がつけなかった?

最初は無理やり付き合わされているということを意識してしたのに、考えたり調べたりしているうちに忘れていった。

…前までは何でもかんでもナアナアでやってきていたのに、こんなに集中して何かをしているのか、俺。

晴音のこととなると、全部に関して本気になるな。

…これが兄になったってことなのだろうか?

ちゃんと兄になれてるのだろうか。

まあ、今はそんなことはどうでもいい。

まずは目先のことを考えよう。

「…俺たちなりに考えて、無理だったら信用出来る友達に頼む。だからとりあえず、一緒に考えよう」

そう。何も難しく考える必要は無い。

「お兄ちゃん」

「なに?」

「前に、辛い時はちゃんと言え!って言ってくれたよね」

「ああ、確かに言ったな」

ついこの間のことだ。

もちろん覚えている。

「だから、今叫ぶ!」

……え?

そう言って晴音は俺の掛け布団をガシッと掴んで顔を埋め───

「あいつに会いたくなーーーい!学校行くのは今は嫌だーーー!今は遊んでたーーーい!」

そう叫んだ。

まさか晴音がこんな行動をするとは思わず、ポケ〜っとしていると、晴音はパッと顔を上げて…

「ちゃんと言えたよ!」

と言ってこちらを向いて微笑んだ。

「……ああ、ちゃんと言えた。偉いぞ!」

よし、義妹の初めての自分から出した気持ちだ。

そのくらいだったら全部叶えてやろう。

「よし!きっと澪さんはおっけーしてくれると思う。学校をサボるんだったら、思いっきり楽しもうか。どうせなら陸とかも誘ってみるか」

「えっ?それは陸さんに悪いんじゃ…」

「大丈夫。あいつはこういう時、なんだって手伝ってくれる。それに困っている人には手を差し伸べる良い奴だ」

そう。

俺を救ってくれたように。

「そうなんだ。……お兄ちゃんはすごい優しい友達がいっぱいいるんだね」

やはり学校に転校して来たばかりだから、親友と言える人がいないのだろう。

でも、晴音なら…

「晴音なら、絶対にいい友達ができるよ」

絶対に大丈夫。



晴音を自分の部屋に返したあと、俺は陸に連絡を入れて、ものの数分で返信が来た。

『 もちろんいいぞ。……ただ、結菜も連れて行っていいか?』

……いいけど、白雪さんって学校サボったりするんだな。

以外だ。

『 晴音も同性がいた方が楽しいと思うし、お前もだろ?』

『 まあな。じゃあ後で集合場所とか送ってくれ』

『 了解』

……よし。

あとは澪さんに聞こう。



「休んだ分の勉強を蒼くんに見てもらってもいいなら大丈夫よ。何より、あの子が自分でそんなわがまま言ってるのが嬉しい」

まあ、良くないことだけどね。と笑いながら言う澪さんは、嬉しそうな表情を浮かべていた。

「勉強に関しては教えられると思うので大丈夫です。ただ、お願いがあります」

「何かしら?」

「最近、澪さんちゃんと休めてないでしょ?それに、晴音ともあまり喋れてない。だからちゃんと休んでくださいって言うのと、晴音とも遊んであげてください」

「……そうね。確かに晴音と喋ってない。……ちゃんとしなきゃなぁ」

そういう澪さんは、後悔していた、と思う。

いや、それよりも少し怯えている?ような感じがした。

……ひとまず、許可はおりた。

明日は朝から晩まで遊び尽くすとしよう。

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