第5話 絶対面倒なことになるじゃん…はぁ
「ねぇ蒼くん!晴音って誰!?」
「仲良いの?幼馴染とか」
「てか、どんな子?かわいい?」
「蒼くんその子とどんな関係なの?」
「もしかして恋人!?嘘でしょ!?」
「ちょっとまってくれ!一気に質問されても答えられない!1人ずつ頼む。それと、先に言っておくけど晴音は恋人とかじゃないから」
(ここまで気になるものか?……どうしよう。正直な話、晴音と兄妹になった事は言わない方がいいと思うんだけど。でも嘘ついてバレたりしたらやばいしな〜)
「じゃあ、私から。まず晴音って誰?」
(まあ、こう来るよな〜……というか同じ苗字になってるしバレるか。なら…)
「晴音はうちの親が再婚してできた義妹だよ」
「えっ!?蒼くんの親再婚したの!?おめでとうー!」
「そうなんだ〜。おめでとう!」
「あはは…ありがとう」
「じゃあさ蒼。晴音ちゃんって可愛いか?」
「正直、家族と言うひいき目なしにしてもめちゃくちゃ可愛いと思うぞ」
(あっ 、これ言わない方が)
そう思った時には遅かった。
「うおー!まじで!」
「後で紹介してくれよ!」
「何組にきたの?田中先生だったから3組か?」
「なぁなぁ写真ないの?」
ほーらこうなった。
可愛い子と言ってうちのクラスの男子が騒がないわけないだろう。
しかもこういう日に限ってあのクズも学校に来てるし。
「おい、その晴音って奴に会わせろよ」
はい来た。すぐ来たよ。
それと同時に周りにいたやつらは少し離れていく。そのくらい嫌われているやつなのだ、この、
「なんでお前に会わせなきゃなんないんだよ」
「うるせぇよ。お前に拒否権はないんだよ」
「はぁ、だから俺はお前苦手なんだよなぁ」
そう。こいつの家は金持ちだ。確か親が会社の社長だとか何とか。
しかもその親は息子のことを甘やかしすぎているため、こいつは何をやってもいいと思っている。
「お前に好かれたいとか思わねぇよ。早くここに呼べよ」
「絶対にやだね。お前に会わせたらろくなことにならないし」
ちなみに、俺はこいつの言うことをほとんど聞いたことがない。
なんでかって?別に怖くないからだ。
だって別にあいつの親が来ても悪いのはあっちな訳だからね。
「お前いい加減にしろよ!俺の方が金持ちなんだぞ」
「いつも言ってるけど、お前が金持ちだからなんなんだよ。というかそろそろ親にすがるのやめとけよ。ダサいぞ」
「うるせぇ!雑魚は喋んな」
「はいはい、じゃあもう喋んないからこっちに関わってくんな」
「クソが!覚えとけよ」
そういうと裕也は自分の席に戻って行った。
「はぁ、疲れた」
「おつかれ、蒼。お前いつもあいつに絡まれてるよな」
「あぁ、陸。うん。なんかいつも絡んでくるしだりぃ。ごめんみんな、質問は後でにしてくれるか?」
「うん。おつかれさま蒼くん」
「いつもありがとうな。こっちもスッキリするわ」
そんなことをみんな一言伝えてから席に戻って行った。
「俺に突っかかっても負けるって分からないのか?いつもキレて席に戻るくせに。しかもあいつ最近休んでて平和だったのになぁ」
「まあ、突っかかっる理由は何となくわかるけどな。今日来ていたのは運が悪かったとしか」
「…だよなぁ。てか、理由はなんだよ?」
「お前なぁ…ま、それがお前のいいとこでもあるからな。理由は知らなくてもいいと思うぞ」
「ならいいや」
陸はムードメーカーではあるが、人を傷つけたり無駄な事を言ったりするやつではない。
その陸が知らなくてもいいと言うならそうなのだろう。
「それより、どうするんだよ蒼。裕也のやつどうせすぐ晴音ちゃんの所行くぞ」
「それなんだよな。どうするか…」
どうするとは言ってもなにか出来るわけではない。
しかし、だからと言って何もしない訳には行かない。
今俺が晴音に対してできることと言えば連絡をとることくらいだが、
「……ん?」
「蒼どうした?」
「…これなら行けるか?」
意外なことにも裕也は10分休みには他クラスに行かなかった。
しかし、予想通りと言うべきか、昼休みに裕也は教室から出ていこうとしていた。
トイレという可能性も多少あるが、さっき行った時にあいつが出てくるのを見たのでおそらくはないだろう。
「よし、連絡するか」
俺が考えた作戦というのは、晴音をこっちのクラスに呼ぶというものだ。
裕也がいなくなると同時に晴音を呼び、すれ違いさせ、こっちのクラスに来てもらいみんなに紹介する。
これならあいつに会わせずに、みんなの質問に答えることができる。
裕也が戻って来たら面倒だが、その時は俺が守ればいいだろう。
そして俺は晴音に
『悪い晴音。今からこっち来られるか?気まずいかもしれないけど、出来れば来て欲しい』
と送った。
「蒼、送ったか?」
「あぁ陸。今送ったよ」
「それにしても、蒼の義妹になった子か。確かに興味はあるな」
「まぁ、そんなもんなんじゃないか?俺も、もしお前に義妹ができたってなったら気になるし。クラスのみんなもそんな感じだろ」
「そうだな。でも1人で来るって結構キツくないか?」
そう。そこなのだ。
晴音はうちに来た時かなり緊張していて、澪さんの後ろに隠れていた。
おそらく、というかきっと人見知りなのだろう。
そんな晴音がいきなり知らない人ばかりのところに来るなんて無理に決まっている。
……あれ?でもあっちのクラスでは仲良くできそうって田中先生言ってたな?
意外と大丈夫だったりするのだろうか。
まあ念には念をだ。
「ダメそうなら俺の後ろにでも隠れていてもらうよ。それでメッセージでも取り合って質問に答えたらいいだろ」
「それなら大丈夫か」
晴音に少し負担をかけてしまうが、それよりも裕也に会わせる方が怖い。
しかし、2人が会ってしまうのも時間の問題だろう。
「……なんか考えないとなぁ」
「何をだ?」
「いや、今はこの方法でいいとして、今後避けさせるためにはどうしたらいいかと思ってな」
「あー、なるほどな。……今考えても仕方がない気はするけど」
「だなー…」
「俺も手伝うからさ、また明日にでも考えよう」
「ありがとう陸。助かる」
こうして俺の、晴音を守るための方法を考える脳内会議が始まった。
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