とある少女の話1

昼休み中、お兄ちゃんからメッセージが来ました。

『悪い晴音。今からこっち来られるか?気まずいかもしれないけど、出来れば来て欲しい』と。

……多分、クラスに馴染めてるか心配してくれてるんだよね?

でも出来れば来て欲しいってなんだろう?

と言うか、今日って午前授業じゃ…

あっ!だから昼休みに呼んだのかな?

まあ、昼休みって言ってるけどみんな帰るしね。

そんな事を思っていると

「晴音ちゃーんこの後一緒に遊ぶに行かない?歓迎会しようよ!」

「そうだよ。せっかく転校初日なんだから遊ぼう遊ぼう!」

「おっ!なに歓迎会すんの?俺らも行く行く〜」

「男子たちいるとうるさいし晴音ちゃんが嫌がるでしょ」

「なんだよ、いいじゃんか」

(なんか勝手に決められてる…)

「えっと、今お兄ちゃんに呼ばれてて行かないとだから、今日は難しいかな。ごめんなさい…」

「あーそうなんだ。こっちこそごめんね、勝手に決めちゃって」

「ううん。嬉しかったからいいよ。えーと、あの、…もし良かったらまた今度遊びに行こう!それに男の子いても大丈夫だよ」

「もちろん!また今度行こー。男子は感謝しとかないとね」

(良かった〜。ノリの悪いやつとか思われてないよね?)

「ちなみに晴音ちゃんのお兄さんってどんな人なの?」

「あれ?言ってなかったっけ?2年7組の蒼くんだよ?」

「え?」

「え?」

「「ええーーーーーー!」」

「蒼センパイってあの!?」

「え?あのってなに?」

「確かに同じ苗字だ」

「あの〜。お兄ちゃんってどんな人なの?」

「知らないの?如月 蒼センパイは中学校の時にテニス部の主将で全国まで行ってたんだよ!」

「え!?何それ知らない!」

「しかも、何でもできるから色んな部活で助っ人として活躍してたんだよ!」

(ちょっと待って全然知らないんですけど!?)

「そうなんだ……ちょっと聞いてみる」

「そっか晴音ちゃん呼ばれてるんだったね。じゃあまた明日」

「うん。ばいばい」


「はーぁ、晴音ちゃんいいなぁ」

「私もカッコイイお兄ちゃん欲しかったなぁ〜」

そんな言葉を言いながらみんなが教室を出ていく。

「お兄ちゃんそんなすごい人だったんだ。……あれ?じゃあなんで部屋に賞状とか飾ってなかったんだろう?それにラケットとかもなかったし…」

(あとで聞いてみようかな)

ちょっとだけ楽しみが増えたことを嬉しく思いながら、少し軽くなった足で2年7組に向かうのだった。




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