第13話 まだ、何も知らない

「じゃあな陸、また明日ー」

「おう。またな蒼。……っと、その前に、明日は一緒に帰れないってことだけ」

「ああ、白雪さんと帰るんだろ」

「そういうこと」

「おっけ。じゃあな」

そう言って陸と別れた蒼は、若干雲がかってきた空を見ながら家に帰っていた。

「なーんか、嫌な天気だな。今日は雨が降る予報じゃなかったはずだけど」

とりあえず晴音に早く帰ってこいとだけ連絡をしておく。

「俺も早く帰らないとな」

折りたたみ傘を常備しているとはいえ、濡れないに越したことはない。

段々と周りが暗くなっていくのを感じながら、少し早足で家に向かうのだった。



家に着いた蒼は、久しぶりに晩御飯を作る担当になっている。

『蒼くん、今日の晩御飯お願いしてもいいかしら。実はちょっと用事があって今日帰りが遅くなっちゃうの〜』

と澪さんに言われたので、まあ断る理由もなく了解した。

「材料はあるんだっけか」

そう呟いて冷蔵庫を開けようとした瞬間、

外がひかり

『ゴロゴロ』

という音が聞こえた。

「雷か。」

先程までは雲があったとはいえまだ若干は明るかった。

しかし、今はもう真っ暗だ。

「……晴音遅いな」

もうそろそろ帰ってきてもおかしくはないはずなのだが。

「さっき送った連絡も、見てすらないし」

(何かあったのか?)

頭の中を心配と言う気持ちが駆け巡る。

(大丈夫かな。今からでも学校に行ってみるか?)




『ピンポーン』

玄関の方からインターホンの音がなった。


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