第13話 まだ、何も知らない
「じゃあな陸、また明日ー」
「おう。またな蒼。……っと、その前に、明日は一緒に帰れないってことだけ」
「ああ、白雪さんと帰るんだろ」
「そういうこと」
「おっけ。じゃあな」
そう言って陸と別れた蒼は、若干雲がかってきた空を見ながら家に帰っていた。
「なーんか、嫌な天気だな。今日は雨が降る予報じゃなかったはずだけど」
とりあえず晴音に早く帰ってこいとだけ連絡をしておく。
「俺も早く帰らないとな」
折りたたみ傘を常備しているとはいえ、濡れないに越したことはない。
段々と周りが暗くなっていくのを感じながら、少し早足で家に向かうのだった。
◆
家に着いた蒼は、久しぶりに晩御飯を作る担当になっている。
『蒼くん、今日の晩御飯お願いしてもいいかしら。実はちょっと用事があって今日帰りが遅くなっちゃうの〜』
と澪さんに言われたので、まあ断る理由もなく了解した。
「材料はあるんだっけか」
そう呟いて冷蔵庫を開けようとした瞬間、
外がひかり
『ゴロゴロ』
という音が聞こえた。
「雷か。」
先程までは雲があったとはいえまだ若干は明るかった。
しかし、今はもう真っ暗だ。
「……晴音遅いな」
もうそろそろ帰ってきてもおかしくはないはずなのだが。
「さっき送った連絡も、見てすらないし」
(何かあったのか?)
頭の中を心配と言う気持ちが駆け巡る。
(大丈夫かな。今からでも学校に行ってみるか?)
『ピンポーン』
玄関の方からインターホンの音がなった。
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