第11話 学校に行く!
結局、晴音はあれから1週間学校を休んだ。
一緒にいてやりたかったが、晴音に『お兄ちゃんは学校に行かなきゃ』と言われてしまえば、行かざるを得ない。
まあ、3日間は休んだけどな!
その間、陸にはプリントを持ってきてもらったりしたので、どうして休んでいるのかなどは伝えてある。
「さて、今日も学校は行かないとな」
そう呟きながら廊下を歩くと、目の前の部屋のドアが開き、晴音が出てきた。
それも、制服を身にまとって。
「あっ、お兄ちゃん。おはよ」
「……もう、学校行くのか?」
正直、俺としてはもう少しだけ休んで欲しいと思う。
精神的疲労なんてそう易々と回復するものでは無い。
しかし
「晴音は学校好き?」
「…うん。みんな優しいから」
「そっか」
晴音の気持ちを無視してまで言うことでは無い。
「それなら、一緒に学校行こうか」
「うん!」
久しぶりの登校に少しワクワクしているのか、少し早足になっている晴音をなだめるように少し撫でて、一緒に家を出た。
◆
「晴音。ちょっと気をつけた方がいいことがあるんだが…」
「?なに」
登校中、気がついたことを告げる。
「まあ、久しぶりの登校なわけじゃん」
「うん」
「だから、クラスの奴らに大丈夫だった?とか色々聞かれると思うんだよ」
「…それがなんで気をつけないといけないの?」
本当に分からないと言った感じで首を傾げている。
「いや、多分うちのクラスの奴らも…」
「えっ?」
……あっ。晴音の顔から笑顔が消えた。
まあ、そうなるよね!仕方ないね!
「いや、初めてうちのクラスに来たあと、すごい人気になってる」
おそらく、人見知りが出るだろう。
それが俺の心配のひとつだ。
「……うぅ」
あっ、泣きかかってる。
「すまん、耐えてくれ」
ちょっと、いや、かなり可哀想に感じながら、さっきよりもちょっと遅くなった足取りの晴音に合わせて学校に向かっていった。
◆
「おはよーう蒼」
「おお陸。おはよ」
「今日は晴音ちゃん来たんだな」
休んだ理由は、晴音が休んだからと言ったので、陸は晴音のことを心配してくれていたのだろう。
「ああ。多分、もう大丈夫かな。ただ、心配ではあるからちゃんと見守っておくよ」
「ああ、お兄ちゃんなんだからなちゃんと守ってあげろ」
なんか、周りにお兄ちゃんって認識されてると、ちゃんとお兄ちゃんできてる気がして安心するな。
「任せろ」
「あ、えっと、り、陸さん。お、おはよう、ございます」
お!人見知り発動した。
「ああ。おはよう!」
「それじゃあ晴音。困ったことがあったらいつでもこっち来てくれ」
「うん。じゃあね!」
「ああ、行ってこい」
久しぶりに友達に会えるのだから嬉しいのだろう。
「元気そうだな」
「あぁ、よかった」
やっぱり、幸せになってほしい。
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