義妹が「彼氏できた」と言って連れてきたのが俺のクラスのクズだったので意地でも別れさせようと思います。
夜桜
プロローグ
ジリリリリリリリ。
目覚まし時計の音が部屋中に響く。
今は午前4時30分。
うん。…いつも通りだ。
俺は起きて早々に2人分の弁当作りを始めた。
ひとつは自分用。そしてもうひとつは父さん用だ。
……今日父さん分いらないじゃん。
そうじゃん!今日用事があるって言って有休取ってたじゃん!
…これは父さんの朝ごはんにするか。
そして、朝ごはんを食べ、学校に行く準備を終えた俺は、まだ寝ているであろう父さんに小さな声で「行ってきます」と言い、家を出た。
俺、
理由は簡単だ。
父が仕事ばかりして家の事や家族のことをおろそかにしすぎた。
それに怒った母がついに離婚という話を持ち出してきたというわけだ。
……いや、仕方なくね!?
だって父さんは家族のために働いてくれてたのにそれに対して「あなたは仕事ばっかり!何も家の事してくれないじゃん!」とか言ってたんだよ!?
誰のおかげで生活出来ていたと思ってるんだ母さんは。
まあ、これに関しては話し合いをしないですれ違っちゃったわけだから、どちらも悪いとは言えないけどさぁ。
でも、もう少し話せていたら別れなくて済んだんじゃないかっていつも思うけどね。
……え?俺がどっちについて行ったかって?
俺はちょうど中学で仕事について学んでた時だから、父さんの方に着いていくって決めた。
仕事してくれてるっていうことのありがたさが分かってるから、料理とかだけでもやってあげようって思ってね。
まあ、母さんには猛烈に反対されたけど。
なんなら父さんも「こっちに着いてこない方がいいよ。」とか言い出してたし。
……無理やりこっち来たけど。
父さんの稼ぎはかなり良くて、父子家庭なのに高校も普通に通うことが出来てるし、生活に不満を感じたことはない。
改めて父さんの偉大さを知った気がする。
いつもありがとう〜。
学校が終わり、帰宅部の俺は真っ先に帰路についた。
そして柄にもなく、全速力で走って帰っている。
……いや、だって!だってさ!
今日用事があるって言ってた父さんにLIMEで「すまない。できるだけ早く帰ってきてくれるか。」とか言われたら心配すぎるでしょ!
怖いよ!理由書かないで急いで帰ってきて欲しいは。
父さん、疲れすぎてなんかやったりしたか?
いや。さすがにあの人に限ってそれは無い………と思う。
ひとまず、今は少しでも早く家に帰ろう。
家についた。
そしてドアを開けた。
そこまでは今まで通りの普通だったんだよ。
でも、開けた後が………なんか違った。
「お、おかえり、なさい」
………え?誰この天使?
一瞬思考が停止され、再度動きだしたのは父さんが来た時だった。
「おかえり 蒼。突然の事で驚いているだろうけど、今日からこの子は君の妹になるから。いろいろと頼むね。」
……うん。俺嘘ついた。
父さん来てからもっと頭動かなくなった。
それから10秒後。
父さんの後ろから知らない女の人が出てきた。
「初めまして蒼くん!これからよろしくねぇ!」
………家、間違えたか。
いやでも名前呼ばれてたし、父さんいたし。
とりあえず、
「ただいま」とだけ返した。
そう。俺は一度考えることを諦めたのだ。
「て!おかしいだろ!?えっ?誰この人たち?どういうこと?父さん説明くれ!」
そう聞くと、父さんは
「父さん再婚したんだよ。」
「あ〜そういう事ね!おめでとう!……いやめでたいけども!なんで何も言わなかったんだよ!」
「蒼。それはね、」
「うん」
「サプライズとしてだよ!」
「うん。父さん。頼むからもう少しだけ有休取って落ち着いてくれないかな?」
……俺の父さんこんなんじゃなかったはずなんだけど。
真面目に仕事して、帰ってきたら疲れているはずなのに必ず俺との交流の時間を作ってくれるような人だぞ。
やっぱり、疲れてんのかなこの人。
なんか今度疲労に効くご飯でも作ってあげるか。
……今はそうじゃなくて!
いや、俺も一旦落ち着こう。
それから改めて父さんに詳しい話を聞こう。
そう考えた俺は、自室に戻ろうとした。……のだが、さっきの天使ちゃんに手首を掴まれてしまった。
「えぇーと、どうかした?」
そう聞くと、
「あの、ここ、これから、よろしく、お願いします。」と言われた。
…あ、やばい。守ってあげなきゃ。
いや、そうじゃなくて!
「うん。こちらこそ、これからよろしくね!」
そう、これが彼女との出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます