第16話 遊びに行きます!でも行くまでに時間がかかってます!

「晴音〜。準備できたか〜?」

「うん!今行くねー」

翌日の午前10時。

今日はポカポカという音が合いそうな感じの気温で、まあまあ暖かい。

春のこの時期にはぴったりと言うか、ちょうどいい気温だ。

蒼と晴音は集合場所に向かうため、準備を終えて2人で家を出発しようとしていた。

……やはりというか、女の子は準備に時間がかかるようで、晴音もかなり時間がかかっていた。

ただ、準備を澪さんに手伝ってもらっていたようで、玄関に来た晴音はいつもと雰囲気がかなり変わっていた。

「お兄ちゃん…おまたせしました」

「おお、きた…か……」

振り向いた先には、白をベースにした、フリフリした服を身にまとった晴音が立っていた。

それに、少し大きめのポーチ程のサイズのバッグをかけている。

それを見た俺は……固まった。

勘違いしないで貰いたいのは、まず前提としてかわいいということだ。

しかし、今困っているのはそこでは無い。

いや、そこではあるのだが。

……そう。

真正面から褒めるのが若干恥ずかしいのだ。

だって、普段は妹として接してるし、普通だからよかった。

だが、今はそうでは無い。

いつもより少し露出が多く、なおかつ晴音は意外と『女の子』なのだ。

つまりはそういうことだ、わかって欲しい。

「えと、その、お兄ちゃん…どう?」

そう言ってくるりとその場で回って見せた晴音。

それに対して俺はと言うと―――

(晴音がこんな服を着て外に出ても大丈夫なのか?変なやつらが寄ってきたりとか……いやでも俺らが一緒に行くし……でももし1人になったりしたら?……さすがに大丈夫か……だけど前は1人になった時に裕也に絡まれたし…)

―――猛烈に心配していた。

さっきまではしょうもないことで悩んでいたのに、いざ行くとなると別のところですごく心配になっていた。

ただ、その様子を見て良くない方向に考えてしまったのか、晴音がかなりシュンとしていた。

「大丈夫だ晴音。すごい似合ってる」

「……ほんと?」

「そうだな、まず晴音は肌が白いから白のワンピースを着るとさらに清楚な感じというかお淑やかさがあっていいと思う。それに、今日は暖かいから涼しさがあってちょうどいいな。しかも、全体的に落ち着いた雰囲気があって晴音にピッタリだ」

信じていなさそうだったので力説したのだが……目の前で顔を真っ赤に染めて俯いている晴音を見て、やってしまったと思った……時にはもう遅かった。

晴音は完全に固まってあうあうしてしまっていて、結局家から出るのにさらに時間がかかってしまった。





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